再生中のレコードへの静電気対策

 

先に書いちゃうとやることはこの方の記事と同じです。

audio-beginner.com

 

 

自分は普段レコードの再生前にaudio-technicaのクリーナーで盤面のホコリを取り、その上で残ったゴミと静電気をタミヤの除電ブラシで取り除いている。

 自分が使ってるのはもうディスコンになってた。

 

モデルクリーニングブラシ 静電気防止タイプ 74078

モデルクリーニングブラシ 静電気防止タイプ 74078

  • 発売日: 2016/12/03
  • メディア: おもちゃ&ホビー
 

このブラシはレコードに対してすこし小さいけど、まあべつに問題なく使えるし、本来の用途である模型やフィギュアを含め細々したもののホコリを払うのに丁度よいので重宝しております。これ一本でターンテーブル周りの掃除ができる。

 

 

でもレコードは再生中もおそらく盤と針の摩擦等が原因で静電気が発生しやがりますので、それに関しては再生前の処理だけでは対応できない。そもそもなんでレコードって擦って音拾うくせに帯電しやすい素材で作られてんだよ(ものすごく今更)。

 

レコード再生時に発生する静電気の程度は盤によって様々で、たいして気にならないものもあれば、いくら除電しておいても再生をはじめるとだんだんノイズが増えていってえらいこっちゃになり、終わった頃にはターンテーブルシートにびったりくっついてるような有様のものも。ターンテーブルの駆動方式(ベルトドライブかダイレクトドライブか)でも変わってくると小耳に挟んだがよくわからん。

手持ちだと特にビクター音楽産業の国内盤は酷く帯電するものが多い印象で、長いこと気になってたけどとうとう嫌気が差して対策を練っているときに見つけたのが上記の記事となります。

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そもそもレコード再生時に発生する静電気を抑えるために考えられる対策となると

  1. ターンテーブルシートを静電気が発生しにくい、あるいは除電効果があるものにする
  2. 再生中のレコードを直接静電気除去ブラシで処理する
  3. イオン発生機を使用する
  4. ナガオカのクリーニングスプレー等、除電効果のある薬品を塗布する
  5. ウェットプレイ(レコードを水にひたした状態で再生する)

あたりだと思う。

2は製品化されているものでいうとSFCのSK FILTERみたいな。ただストレートに金が無いので買ってみたりできるわけもなく、手持ちの除電ブラシを再生中のレコードにかざしてみても思うような効果も得られず、トーンアームにアルミホイルを巻きつけて簡易的な除電ブラシのように用いるのも自分の環境ではろくな効果がなかった(今考えると大きなポップノイズを抑制する効果はあったのかもしれないが)。

3は最近知ったのだけど、イオン発生機を再生中のレコードの近くで稼働させることで除電するという方法があるらしい。オーディオ用の機器もあるがたとえばイオン発生機付きの車載用空気清浄機を流用する人もいるそうな。おもしろそうだからそのうち試してみたいけど、車載用空気清浄機とかは稼働音が気になりそう。

4はよく中古レコードにゴテゴテに付着してて悩まされるやつ。適切に扱えばゴテゴテにはならないのかも知れないが、一枚一枚を処理していくのは面倒だしなるべく避けたい。

5は海外のオーディオマニアがやってたりするやつ。日本語で「レコード ウェットプレイ」とか検索してもえっちでヌルヌルなやつばっかり出てくるけど「record wet play」あたりで検索すればそれらしいものがヒットしたりするはず。まあ現実的ではないですね。

というわけで、今回は1となります。

 

 

Truscoの静電気除去シートは以前Amazonをつらつら眺めてたとき見つけて「これターンテーブルシートに流用できんじゃね?」と思ったらレビュー欄に先駆者の方々がいらっしゃったり、値段もわりと手頃だったり、たとえ今回の目的に対しては効果が得られなくても普通にホコリを払う用途には使えそうだったりと、目をつけてはいたので上の記事は渡りに船でした。

 

ターンテーブルシートはTechnicsのRGS0010A(SL-1200系の保守部品)で、その上にTruscoのものを敷いてる。

 

この状態でビクター音楽産業盤(シュライヤーのシューベルト美しき水車小屋の娘』)を再生してみたところ、予想以上に明確な効果があった。

端的に言うとむっちゃ静か。

以前は再生前にいくら静電気を除去しようと針をのせたらすぐに静電気由来と思しきパチパチノイズが乗りはじめそのうち大きなポップノイズも発生する状態になっていたのが、おそらく溝に残っていたホコリ等由来のわずかなノイズだけになったのだと思う。

なんだかぱったり静かになっちゃったから、本当に以前はそんなに静電気に悩まされてたっけ?と不安になってくる。

再生が終わったあと盤を取り上げて手元でブラシをかざしてみたところわずかに静電気が発生していたが、以前だったらそもそもターンテーブルシートと盤を引き剥がすところからはじめなきゃならなかったので状態は比較するまでもない。

 

お次に同じくビクター音楽産業盤で、ちょうどこの前洗ったばっかりのものを再生してみる。

これこそ今回の件のきっかけになった盤で、ほんとに帯電っぷりがエグい。

再生してみると、最初のうちの静けさには「おおっ!」となったものの、じわじわとノイズが出てくる。

内周に至ると少し歪みっぽくもなるが、これが静電気の影響なのかもともとの録音や盤の性質なのか、それとも単に自分のプレイヤーの調整不足なのかわからない(たぶん最後の要素がでかい)。

再生を終えて盤を持ち上げるとシートが一緒にくっついてくる程度に帯電していた。

結局この盤に対しては「あるのとないのじゃ大違いだけど、やっぱり帯電はする」というところか。以前の状態では再生する気にもなれなかったけど、これなら聴くだけ聴いてから「あーあーしょうがねーなー」とか言いながら処理する気にはなれそう。

 

他に輸入盤含めビクター以外の盤を数枚再生してみたけど、全体として劇的というほどではないけど確実に効果が得られている。最初のやつはおろしたて特有のボーナスタイムみたいなやつ?

元々あまり帯電しなかった盤は再生終了後にブラシをかざしてみても毛が反応しない(=静電気がほぼ発生してない)かしてもごくわずか、それなりだった盤はそこそこに、といった感じ。

静電気除去シートを使わない環境だと帯電する盤は再生中からふつうに静電気きてます!って感じだったので逆に目立たなかった、ターンテーブルに乗ってる間はブラシ等に反応しないしホコリも吸い寄せないけど、持ち上げた(=シートから離れた)際に静電気が発生するという新たなパターンのやつも。てかわりとそういうパターンが多いかもしれない。

ちょっと前にオーディオ機材の構成を変えた結果気軽にレコードの音をパソコンで録音したりできなくなってしまったので、きちんと両方の状態を録音して比較できないのが悔やまれる(とかもっともらしく言ってるけどどうせ面倒くさがってやりませんでしたよコイツ)。

 

 

というわけで、少なくとも自分の環境における「再生中に発生する静電気を抑える」という目的に対しては明確に有効な結果が得られました。やったね。

このシートを使ったうえで他の除電手段を併用したり、特に帯電しやすい盤にだけクリーナー等を使用するのが現実的かも知れない。

加えてこれ以上の対策をするなら、機材側をあれこれする前にリストバンドとかシールとか何かしらの手段で自分の身体の静電気対策をした方がいいんじゃないかと。

 

あとこれは個人的な見解だけど、ジャケットから取り出した時点ですでに帯電しているレコードに関しては先にブラシ等でしっかり静電気と付着したゴミを除去してからターンテーブルにのせた方がいいと思うし、帯電具合やゴミの量によっては一旦水洗いしてしまった方が結局余計な手間が省けると思います。

 

 

TRUSCO(トラスコ) 静電気除去シートS

TRUSCO(トラスコ) 静電気除去シートS

  • メディア: Tools & Hardware
 

このシートの効果ってどのくらい保つもんなんだろ。