2021年によく聴いた音楽(Apple Music調べ)

 

Apple Musicが毎年恒例「今年あなたがよく聴いたトラック、アーティスト、アルバムTOP10」みたいなやつをしきりにピックアップしてくるので、12月なんも書いてないしリハビリがてらそれをネタにひと記事でっち上げるかみたいなやつです。

考えてみるとそもそも自分は気に入ったトラックを繰り返し聴くタイプじゃなくリストにもそれがばっちり反映されてて企画倒れ感あるんだけど、まあ一年を振り返る的ななんかそういうのにはなるはず。新譜とかは無い。

 

素直に再生数多い方からいきます。あと貼ってるクリップは必ずしも実際に再生してたのとおなじリマスターやリミックスではないです。

 

1:「ブリュンヒルデの自己犠牲」

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キルステン・フラグスタートヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮フィルハーモニア管弦楽団

今年いちばん再生回数多かったのがよりによってこれ、堂々の15回再生。いや少ないな!

『神々の黄昏』最後のあの忌々しいヴォータンがやっとくたばる場面はなんだかんだこの録音の間のとり方やフレージングが今の自分的にいちばん好ましいかもしれない。フルトヴェングラーにしては録音も良いし。

これ以外だとおなじくこの場面だけ抜き出したジェシー・ノーマンとクラウス・テンシュテットの、あんまりぎりぎりまで溜めまくってじっくり行くもんだから残響の最後の方までちゃんと鳴らしきれる大音量じゃないとスカスカになる、でもうまく鳴らせばバカみたいな巨大スケールになるやつもよかった。テンシュテットが『ニーベルングの指環』全曲録音を残さなかったのがつくづく残念。

 

そういえば今年はいままでよりオペラをあれこれ聴いたり、話の流れくらいわかるようにとフランス語やドイツ語の台本を英語や日本語にざざっと翻訳して対訳本作ったり(完全に機械翻訳頼り)した年でした。といってもモーツァルトワーグナー中心にサリエーリとベルリオーズをちょっとずつくらいだけど。

正直オペラのお話って現代日本で生まれてこの方マンガやらなにやらに親しんできた自分にとって勝手が違いすぎるものが大半なのだけど、でもそれで聴かないのはもったいない音楽的な面白さに溢れているというのもまた事実だし、お話の方も慣れてくれば話の流れは掴みつつ意識の上ではスルーしたり、意外なところで「あれの元ネタってこれだったんか!」てなったり、ものによってはわりと楽しめたりするようにも多少はなってきたので、もっと経験を積めばもっと楽しめるようになると思う。

 

スルーといえば、ある意味オペラやミュージカルどころか歌付きの音楽全般における歌詞、音楽についてくる言葉ってそれ自体がある面では余計なもので、うまいこと言葉の意味をスルーしてそれに引っ張られずに音楽を聴きたいという言ってしまえば欲望がある。

自分がこのブログのメイン記事でちょくちょく歌詞の内容に触れているのも、いざ音楽を聴くときに自分の意識が言葉に向いてしまうのを極力避けるために先んじてある程度意識してしまっておく、みたいな試みの一環でもあるし。というかこのブログのメイン記事そのものが、極端に言えば、その音楽をあらためて聴くときにすべて忘れていられるように、その音楽について先に一度むちゃくちゃ意識しておく、みたいな試みの産物なわけですが。

音楽を本当に実感を持って「聴けている」時っていうのは音以外のすべてが吹っ飛んでいて自分の身体感覚すら曖昧なものだけど、そういう状態って今のところ自分にとってはなにかのはずみでなるもので自発的になれるものじゃなく、それどころか歌詞に意識を引っ張られるくらいなら十分上等な、外を走ってる車だの夕飯の献立だの将来の不安だの昔だれかに言われたことだのが次から次に湧いてくるような状態になることが多い。ていうか使われている楽器やその奏法、エフェクトや楽曲の構造といったものを十分に意識できている状態すら厳密には「聴けている」状態なわけではないのでは?

どうしたら狙って「聴けている」状態になれるかというのは一生の課題なわけだけど、それはそれとして「聴けてない」状態をいかに充実させるかというのもあるわけで、逆にメイン記事で扱ってるような情報を思いっきり意識してみたり、普段はなるべく避けようとする視覚的なイメージをあえて膨らませてみたり、思いっきり言葉に引っ張られてみたりというのもそれはそれで楽しいというか、そちらすら自分は全然満足に行えていないというのが実際のところで、なんか思いつくままにキーボード打ってたら話がとっ散らかりまくってんなこれ。こういうことを単体の記事できちんと書けたらいいんだけど、最近めっきり思ったことや考えてることを文字にできなくなってしまいまして……

 

2:Locomotive Breath / JETHRO TULL

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12回再生!(先が思いやられる数字)。

ぶっちゃけマスタリングの聴き比べ作業で再生回数増えただけで聴こうと思って再生したのはずっと少ないと思います。てか考えてみるとちゃんと聴くときはディスク再生してたからこれ全部確認作業だった可能性すらある。もうおしまいだろこの企画。

 

詳しいことはこの記事の下の方。

scnsvr.hatenablog.com

 

3:「ジークフリートのラインへの旅」

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11回再生。正直このあたりはテンシュテット盤のほうが再生回数多いもんだと思ってた。

今年は『ニーベルングの指環』全曲録音をフルトヴェングラーベームカラヤンバレンボイムブーレーズレヴァインといくつかは通して聴いていくつかはつまみ聴きしていたので、その合間にこのあたりのトラックを再生してたら再生回数が増えたと思われる。

ていうか自分的には今年はワーグナーも聴いたけどそれ以上にシューベルトシューマンを聴いてるつもりだった。クラシックで一つの楽曲にしぼって聴くときってだいたい違う演奏家、違う録音をとっかえひっかえしていくから、楽曲自体を聴いた回数は多くても再生した音源はバラけていてこういうとこには入ってこないのかも。

 

4:GREAT HELI-RUINED BASE (ヘリコプターBGM~ボス1) (FC版)

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11回再生。このトラックに関してはアーケード版よるFC版のほうが好きなんだよなーとか思ってるうちに再生回数が増えたものと思われる。

 

5:Sonic Attack / HAWKWIND

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10回再生。『Zones』収録の、ライブでは基本ポエトリー・リーディングやステージ上の演出がメインなこのトラックを1981年スタジオ版を踏まえたアレンジで演奏しているわりと貴重な時期の録音。

 

たぶん下の記事書いたときに触発されて80年代の音源を聴き直してたんだと思う。

scnsvr.hatenablog.com

これも本当はもう1本のビデオについて書こうと思ってたんだけど、ストーンヘンジ・フェスティバルについて調べる段階で息切れしてしまいました。

 

6:As Good As New / ABBA

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8回再生。とうとう一桁になっちゃったよ。

ABBA復活の勢いでマイベスト的なプレイリスト作って遊んでたときに次のトラックとの流れを確認したくて繰り返し再生したと思われる。ここでパッと新譜からのトラック貼れてればまだ格好つけられたんじゃないですかね。そうでもないか。

ところで新譜のほう、過去作を連想させる「くすぐり」みたいなのも交えたりはしてるんだけど、それにしたって現代版アップデートみたいな装いですらなくあまりにも「あの」ABBAそのまんまのアルバムがぽんとお出しされた感じで嬉しかったと同時にけっこう驚きました。なんというか、ある時期に当たり前にやっていたことを、それが途切れたあとでもう一度やろうとすると技術的にはむしろ上達しているはずなのに何故かあの時のようにはいかない、みたいなことが多少なりともある前提で、それがうまい方向に転んでくれるかどうか心配していたら、本当にあの時そのままのが出てきたというか。

 

Voyage - Album by ABBA | Spotify

 

7:Fylingdale Flyer / JETHRO TULL

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8回再生。JETHRO TULLのリミックス・シリーズに今年あらたに『A』が加わったのでさっそく聴いてた。

何を隠そう今年このブログでずっとJETHRO TULLを扱ってたのはこのアルバムを万全の体制で聴くためだったのだけど、正直『Minstrel in the Gallery』のブックレットの翻訳作業を済ませる前に本編を聴きすぎてしまった感がある。あと現時点でリミックス・シリーズを入手できてないアルバムがあってですね……

 

8:「ジークフリート葬送行進曲」

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8回再生。ここまで書いて気がついたんだけど、Apple Musicって何らかの理由で音源をライブラリに追加し直したりするとそこで再生回数がリセットされてしまうから、本当はそれなりに再生してたはずなのにカウントされていない音源がなにかしらあるはずだわ。まあどうしようもないけど。

 

そもそもなんでワーグナーだったかというと、今年になってジョン・ブアマン監督『エクスカリバー』を観直した流れでこっちもあらためて聴いてたというのがあります。

エクスカリバー』の題材とそこで使われている音楽についてはいずれ個別の記事で書きたいのだけど、できればその前に『殺しの分け前/ポイント・ブランク』や『脱出』みたいに監督ご自身の音声解説を含むBDがリリースされないもんかな〜と思ってます。そもそも観たことない『未来惑星ザルドス』も、これから中古であの時期のDVD探すよりかはBDを待ちたい気持ちが強い。まあせっかくリリースされても金なくてどうにもならなかったみたいなのがここ数年の自分の状況なのですが。

 

9:Vampire Killer (Sneaking into the Castle BGM)

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8回再生。急にムラっときてコナミの拡張音源使ってるファミコンソフトのサントラを聴き漁った時期があってそのときの本命が『悪魔城伝説』と『ラグランジュポイント』だったんだけど、なぜか拡張音源じゃない『悪魔城ドラキュラ』のほうのトラックが再生回数がのびてる謎。

 

10:Tonight Is What It Means to Be Young

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8回再生。『ストリート・オブ・ファイヤー』は山ほどあるサウンドトラックばっかり聴いてて映画本編観たことないやつのひとつだったのだけど、今年になって若い頃のウィレム・デフォー目当てでやっと観た。ついでに映画本編とは無関係にこの曲のヴォーカルをそれぞれキャラクターがはっきりした4人程度の歌手で分け合う形にアレンジする妄想をしていた余波で再生回数が増えたと思われる。

 

11:白虎野の娘 / 平沢進

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8回再生。黄金時代篇がはじまる前から読んでいた『ベルセルク』の三浦建太郎が亡くなったのがわりとショックで、なんとなく平沢進のアルバムの手持ちのものとサブスクにあったものを聴き返してた一環。今敏が亡くなってからもう10年以上経ったのか。

ていうかなるべく公式チャンネルのクリップ貼ろうとしてやむを得ず「白虎野の娘」じゃなくてアルバム版歌詞の「白虎野」、しかもライブ映像を選んだつもりだったのに、あらためて確認したら公式じゃなくてファンのチャンネルじゃねーか。

 

映像見てもなにを操作してるのかしてないのかさっぱりわからないレーザーハープについてご本人のツイートがまとめられてた。

togetter.com

 

 

以上。なんかやたら8回再生のがあってTOP10みたいにできなかったけどどうせ再生回数一桁でトップもベストもあったもんじゃないのでまあいいか。

 

たぶんCarusレーベルのメンデルスゾーン関係の音源が配信からごそっと消えてなければなにかしらここに入っていたはずなのでそれが残念。Carusレーベル自体知らなかったからすごい金脈を見つけた気分で大興奮だったんだけども。もしや俺が再生したことで「日本から再生できる」という権利者側が本来意図していない状態にあったことがバレてしまってその結果削除されたんだったりしないかと不安になってしまいますね(自意識過剰)。

 

あとは今年の新譜だとマティアス・キルシュネライトとミヒャエル・ザンデルリング指揮フランクフルト放送交響楽団のフンメル/ウェーバー/メンデルスゾーンのピアノと管弦楽作品集とかヨナス・カウフマンのリスト歌曲集がよかったです。ブラウティハムのウェーバーはまだ聴けてない

 

それでは皆様良いお年を。自分は年越しそば食べて『三大怪獣 地球最大の決戦』観ます。