世界クラシック音楽大系(概要)
人里に紛れて日銭を稼ぎつつ「いらないレコードとかあったら引き取りますぜ〜ヘッヘッヘッ」みたいなこと言ってたらほんとにいただけたのがこちら。
『世界クラシック音楽大系(The Great Collestion of Classical Music)』CBS・ソニーファミリークラブ(FCKA 101)
よくハードオフのジャンクコーナーにバラでころがってるやつ!よくハードオフのジャンクコーナーにバラでころがってるやつじゃないか!
たぶん百科事典とかとおなじノリで通信販売とか訪問販売されていたタイプの商品で、いろいろ仕様変更されつつ70年代からCD時代まで売られていたんじゃないかと。
これ譲ってくれたひとも訪問販売を断りきれなかったのかな…分割払いだろうけど全部で20万近くしたよなこれ……。
今回のセットはおそらく80年代前半の仕様でレコード100枚組ブックレット付き。
ヤフオクやメルカリをのぞくと同種のアイテムがぽろぽろ出品されていて、それらをみた感じ完品には「音の索引」と題されたダイジェスト盤みたいなレコード数枚や小冊子、木製キャビネットが付属してるっぽい(モーツァルトの肖像画みたいなのが付属してるものもあったが・・・)。
ざっと確認した感じボックスやジャケット背はかなり劣化が進んでいるものの盤自体は多少のカビや埃こそあれほとんど聴かれた形跡がない美品で、当時の国内盤らしく盤質も良さげ。
内容はCBS・ソニー系やRCA系のメジャーどころな演奏家やオーケストラが揃っていて、あんまり自発的に聴かなさそうなあたりなのも逆にありがたい。
というわけでこれからこいつらを洗っていくわけだけど、せっかくなので備忘録をかねて数パートに分けてブログにアップしようかと思います。思うだけは自由。
あと洗うと言ってもさすがにこれを1枚1枚ブラシで仕上げていくのはめんど、もとい手間がかかりすぎるし、なによりせっかく綺麗めな盤ばっかりなので、とりあえずぬるま湯でざざっと流してマイクロファイバークロスで拭きとるくらいで様子を見ようかと。
これはLPサイズぴったりで生地もしっかりしてて具合よかったやつ。
参考
Discogsに項目があった。完全なリストではなくCD版とLP版がごっちゃに登録されているけどあるだけありがたい。これを見た感じCD版のセットは1985年リリースなのだろうか?
ちなみにこの後の記事で触れることになるけど、手持ちのセットに含まれる盤の一部は1983年12月プレスではないかと睨んでいる。
ソニー世界クラシック音楽大系 コレクション | m.nishiuchi Museum | MUUSEO (ミューゼオ)
Muuseoに綺麗なスキャン画像あげてる方がいらっしゃった。紹介文も自分の記事よりよっぽどちゃんとしてるのでこっちを読んだ方がわかりやすいと思う。残念ながら各盤のレビューは最初の2枚で力尽きたようだけどまあそうなるよね……
Apple Musicで配信されてるサラウンド音源を聴く
Dolby Atmosを5.1chにダウンコンバートして聴く
去年の秋だか冬だかに10年近く使っていろいろ限界を越えはじめていたMac miniをM1チップ搭載の機種に買い替えたことで、Apple Musicをロスレス再生できるようになりました🎉。
そうなると今度は24bit/48kHz以上のハイレゾやDolby Atmosが気になってくる。いやほんとは前から気になってて Windowsにいかず再度Mac miniを選んだのもその第一歩くらいの気持ちがあった。
現在自分はApple Musicを主にMac miniとHDMIで接続したAVアンプ、YamahaのRX-V479で再生しています。
RX-V479はたしか2015年頃発売のこういったものとしては安価に入手できた機種で当然Dolby Atmosには未対応*1。
未対応なのでてっきりApple Musicからのサラウンド再生自体ができないものと思い込んでたんだけど、試してみたら特別な設定はしなくてもDolby Atmos音源を5.1chにダウンコンバートして再生できました。
Audio MIDI設定。RX-V479(を介してMac miniと繋がってるモニター)をサウンド出力装置に設定して、なんか8chにもできるけど意味あるのかわからんし6chに。
ミュージックの設定の再生タブ。Dolby Atmosを再生できる場合も設定自体はおなじだと思う。
ちなみにMacはHDMI接続で24bit/48kHzまでしか出力できないのでこの設定に意味はないどころかきちんと合ってる場合より音質的に多少不利になる可能性すらあるっぽい。
少なくともMac miniとAVアンプをHDMI接続してる限りでは、これだけでDolby Atmosを5.1chにダウンコンバートして再生してくれます。
よくわかってないんだけど、ようするに再生装置(この場合はAVアンプ)がDolby Audioにさえ対応していれば、Dolby Atmosには未対応でもここに書かれている「その他のドルビーオーディオ形式」で再生してくれるということなんだろう。
知ってる人には当たり前なことなんだろうけど、自分の狭い観測範囲と乏しい検索能力では「Apple MusicのDolby Atmosを再生するにはDolby Atmos対応の装置が必要」というまあそうなんだけどそれだけじゃないだろくらいの話題がほとんどで、こういう下位互換的な話は見かけた記憶はなくサラウンドで再生できたときはそれはもう驚きました。
ともかくこれで聴きたかったアレやコレが・・・!!!
https://music.apple.com/jp/album/waka-jawaka/1442698083
アレの一例。
https://music.apple.com/jp/album/american-beauty/664831661
コレの一例。
Apple Musicのアルバム表示画面でDolby Atmosロゴが出るのは「アルバム全曲がAtmos」の場合のみなので、たとえば「アルバム本編はAtmosでボーナストラックはステレオのみ」の場合Atmosロゴは表示されずLosslessロゴのみになる。
たとえば、
https://music.apple.com/jp/album/moving-pictures-40th-anniversary/1608075150
これもアルバム本編はすべてAtmosになっている。
あとアルバム中有名な1曲だけAtmosになっているようなのがちょろちょろあって、アルバムを通して聴いてると急に鳴り方が変わるので正直言って邪魔。
加えてこういう1曲だけのやつはたいてい初聴きのインパクトだけ狙ったような派手だけどその音楽の魅力は損なっているようなミックスが多い。一瞬筆が乗って「4chステレオ時代のダメミックスみたい」と書きそうになったけどさすがにそこまで酷くはないですが。
これとか
これとか
なんかバランスの傾向的にAVアンプの自動調整機能でスピーカーをセッティングしてそのまま鳴らしたときに近い気がする。
もちろんこういう1曲だけAtmosのなかにも良いミックスはある。
これはおそらくスティーヴン・ウィルソンがリミックスを手がけていて、楽器間の音量バランスや繋がりといった点でオリジナルを尊重しつつステレオとは違った聴きごたえを出している。
とはいえやっぱりAtmos版はシングル扱いとかでアルバムとは区別してほしかった。
その他のDolby Audioを聴く
さて、Apple Musicには「Dolby AtmosじゃないDolby Audio」も配信されている。
つまり5.1chとかあるいは4chのサラウンド音源で、大抵の音源は新しく制作されたものではなく過去のマテリアルをせっかくだからそのまま配信してる感じっぽい。
だいたいSACDやDVDに収録されていた5.1ch音源とQUAD時代の音源をデジタル化したもののどちらかで、ようするに宝の山。
たとえば
https://music.apple.com/jp/album/agents-of-fortune/217555955
BLUE ÖYSTER CULTの『Agents of Fortune』。2001年のSACDにあわせて制作されたサラウンド音源だと思われる。
https://music.apple.com/jp/album/secret-treaties/186069324
BLUE ÖYSTER CULTの『Secret Treaties』。オリジナルのQUAD音源をデジタル化したもので、以前Audio FidelityからSACDでリイシューされていた。
すごいのは
https://music.apple.com/jp/album/tyranny-and-mutation/185664277
BLUE ÖYSTER CULTの『Tyranny and Mutation』!!!
当時のQUAD音源だけど自分が知る限りこれまで公式にリイシューされたことはなかったはず。なにかしらのタイミングでデジタル化はされていて、リリース機会がなかったのを蔵出ししてきたということだろうか?
この3つを見ただけでもどれほどの宝の山かわかっていただけると思う。
あとやっぱりアルバム全曲がDolby Audioじゃないとロゴが表示されないので、
https://music.apple.com/jp/album/tyranny-and-mutation/185664277
このアルバムみたいに再生してみないとサラウンドだとわからないものが紛れ込んでいる。
おまけ
じつはApple Musicにはこれら以外にも、ずっと前から配信されているサラウンド音源がある。
たとえば
https://music.apple.com/jp/album/symphonic-music-of-yes/258606417
これとか
https://music.apple.com/jp/album/symphonic-battle-scenes/276761194
これとか
ようするに昔あったDolby Surround CDの音源がそのまま配信されているやつで、探してみると沢山はないけどちょろちょろとは見つかる。
https://music.apple.com/jp/album/themes-from-the-godfather-romeo-juliet-jaws/299627052
こういうのもある。
あとはDolby Surround CDに力を入れてたTelarcレーベルのアルバムとかも。
まあそもそも最近はDolbyが「Dolby Surround」の名称をDolby Atmosへのアップコンバート機能に使いはじめてこの時代のものは過去の遺物になっていて、AVアンプにもステレオや5.1chをAtmosにアップコンバートする「Dolby Surround」機能はあってもPro LogicとかPro Logic IIとかは積まれなくなって久しいのですが。
YamahaとかDenonみたいなAVアンプにPhono入力も付けてレコード再生に対応してるメーカーがQUAD時代のマトリクス方式のエンコーダーをデジタルで再現したの含めてこういうの全積みした機種を作ってくれないものですかね。
2022年に聴いた音楽ふりかえり(Apple Music調べ)
これは2021年とおなじようにApple Musicで1年をふりかえろうとしたんだけど筆が(タイピングが)進まなかった記事の残骸です。
トップソング
そもそも再生回数の多かったトラックトップ10がこんな感じだったもんだからコメントに困って書き進められなかったとこある。
この記事書いたときに聴いてたWEATHER REPORTの1stとザヴィヌルのソロが半分を占めててなに書いたもんかわかんねえ・・・。
まあたぶん実際に2022年いちばん繰り返し聴いたトラックはこっちになるんだと思う。
それでも12回再生なんですが。
「Johnny Remember Me」は子供の頃に聴いたとき女性ヴォーカルや全体的な残響の具合が印象的ですぐ好きになり、以降ちょくちょく聴き返してたんだけどそのわりにジョン・レイトンの他のトラックは知らないままになってたので、この機会にあれこれ聴いてみてました。
あとジョン・レイトンってなんか『大脱走』の例のマーチに歌詞つけたシングル出してるなーとぼんやり思ってたんだけどそもそも俳優として本編に出演していて、しかもチャールズ・ブロンソンの相方という言われてみれば「ああっ、あの人か!」てなる役だったのね。
残りのトラックは80年代っぽい音作りのものに飢えてたときちょくちょく聴いてたビリー・アイドルとマンフレッド・マンにあとアイアイオー。
なんか全部で7284曲聴いたらしいけどなんの実感も湧かないのでコメントしようがない。
トップアーティスト
前回は触れなかったアーティストトップ10はこんな感じ。
2022年は途中から労働の行き帰りに特定のバンドだかミュージシャンのアルバムを古い方から順番に全部聴くということをやってたんだけど、上位2つはまさにそれで取り組んでたやつ。AC/DCよりSTATUS QUOが上なのはQuoのがアルバム枚数が多いから。
スティーヴィー・ワンダーとTRAFFICもおなじような試みをしてたんだけど、スティーヴィーは途中で力尽きTRAFFICはアルバム枚数が少ないのでこの位置に。
正直労働の行き帰りという条件下だと聴いてられるものと聴いてられないものが音楽そのものの好みとはまた別にはっきり分かれてしまい、特に帰り道に聴いてられないと眠気に直結するためあんまりいろんなジャンルやスタイルに挑戦できないという現実がある。
まあまさに自分にとってのAC/DCやSTATUS QUOみたいな「ある程度知ってはいるしそれなりに好きだけどひと通りおさえているとは言い難い」くらいのやつをおさえるには良い機会なのでしばらくはこういう感じでやってこうと思います。
他はなんか知らんうちに伸びてた。PRIMAL SCREAMとかそんなに再生したっけ?
これは記事のアイキャッチにできそうだなと思って撮っておいたスクショ。
全体で1281アーティストを再生したらしいけど、ぜったいクラシック関係の表記揺れとかで実際に聴いたのより増えてると思う。
トップアルバム
んでもって以下がアルバムトップ10。
ってこれあきらかに「アルバム全体を再生した回数」じゃなくて「アルバム収録曲を再生した回数の合計」じゃねーか。
堂々1位のミシェル・ルグランは初期アルバムのコンピレーションで、自分はApple Musicのライブラリでタグを編集して各アルバムに切り分けた状態で聴いてたので、それぞれのアルバムの再生数が集約された状態になってるんだと思われる。
こんな感じ。ジャケット画像は拾い物をあてがってる。
ミシェル・ルグランの再生回数が増えたのはマイルス・デイヴィスのギル・エヴァンスとのコラボ作品をより良く聴くための参考に再生したら「Mademoiselle de Paris」が耳に残って離れなくなってしまいのたうち回ってたため。
ついでにこっちも貼っちゃえ。
ほかにストラヴィンスキーとストーンズのモノラル箱もタグ編集してアルバムごとに切り分けた状態で聴いてたもの。
ストラヴィンスキーはこれほぼ詩篇交響曲と交響曲ハ調の再生回数じゃないかと。
ストーンズのモノ箱はそもそもDecca時代のアルバムを再生するときは特別な理由がない限り基本これになってるので、むしろ意外と再生回数少なかった印象。なおこのコンピなぜか『Aftermath』US盤のほうの「Going Home」だけ再生不可になってる。UK盤の同曲は再生できるからどういう意図でこうなってるのか、むしろなんの意図もなくて単に管理が杜撰なだけなのか・・・。
グレン・グールドのゴルトベルク変奏曲はぶっちゃけ演奏自体の鑑賞よりも、こんだけ古いモノラル録音がDolby Atmos化されてるのを面白がって再生してたら増えたんだと思われる。
そう、実はAVアンプをアトモス対応に買い替えたわけでもないのにApple Musicのサラウンド音源を再生できるのを発見したんだけど、これに関しては別途記事にしたいのでまた後ほど(みたいなことを書いておけば実際の記事を書かなくてもOKとか思ってないか?)。
Quoの1stはこれまで何度か聴く機会があったもののいまいちピンと来なかったのをある程度掴もうと何度かトライしていた名残。
このリストみたら思い出したけどPRIMAL SCREAMの再生回数が増えたの一時期なぜか寝るときにスマホのスピーカーで『Vanishing Point』流しまくってたからだわ。
全体で1336アルバムを再生したらしいけどもうなんもわからん。てかおなじアルバムの音源違いとかで水増しされてるだろこれ。
あとがき
プレイリストはそもそもあんまリスニング用途に使ってないのでカットで。
ほかに2022年に印象的だったトラックだと『まちカドまぞく 2丁目』が放送されてる間それ以外の記憶が曖昧になってた関係でそのエンディング曲とか、
なにとは言わないけど某おとわっかで懐かしくなってひさしぶりに再生したこのあたりとか、
あとアイアイオー。
レコード関係がごっそり抜けてるけど2022年の自分はわりとこういう感じだったらしいです。
夏だか秋だかに壊れっぱなしだったBDプレーヤーを買い替えたのを皮切りに10年くらい使って壊れかけてたパソコンとモニターを買い替えてAV機材のラックを整え直しスピーカーをアレしてそうこうしてるうちに20年くらい使ってた気がするプリメインアンプがとうとう壊れと、今に至るまで音楽聴いたり映画アニメ観たりする環境をいじくり回し続けてなんだか今後のための準備期間みたいな気分になってるとこあるので、とりあえず2023年は(も)目先の物欲に邁進していく所存であります。まあ欲に駆られる元気があるだけまだマシみたいな
TenLem
「TenLem」は『レミングス』のBGMのひとつ。
『レミングス』はもともとAmiga用に開発されたパズルゲームで多くのパソコンやゲーム機に移植されたので、BGMもそれにあわせてやたらバリエーションがある。
オリジナルのBGMはブライアン・ジョンストンとティム・ライトという方々が手がけたらしい。
Amiga版。イギリスの数え歌「Ten Green Bottles」にショパンの葬送行進曲とワーグナーの結婚行進曲をくっつけたもの。
自分は「Ten Green Bottles」をこのゲームではじめて知った。YouTubeで検索するといかにも海外の子供向けっぽい動画がわんさかでてくる。
こういう歌だからつまりBGMのタイトル「TenLem」はボトルのかわりにレミングが(例のSE)。
そういや『レミングス』のBGMにはほかに「She'll Be Coming 'round The Mountain」も使われてるけど、こっちも「Ten German Bombers」なんて替え歌にして数え歌がありました。
Ten German Bombers - Wikipedia
Twangといえばデュアン・エディ。
いちばんTwangしてるDOS版。サイケっぽい気もしてくる。
さて、この『レミングス』は1991年のうちに日本のSUNSOFTからスーパーファミコン移植版が発売されいる。
BGMははたけやまともみ氏により、どれもスーファミの音源に合わせた巧みな編曲が施されていてほかの各種移植版とは一線を画すものになっている。
「TenLem」もサックス風の陽気なリードをフューチャーし葬送行進曲と結婚行進曲の音色もそれっぽいものを使い分けていっそうコミカルな雰囲気になっていて、操作をミスってレミングが次々に落下していく様を呆然と眺めたりふつうに嫌気が差して全員爆破しはじめた際に最適。
なのだけど。
「Ten Green Bottles」のメロディラインに改変というか整地が施されていて、よりスムーズな印象になっている。
たぶんはたけやまともみ氏は原曲を知らないままこの編曲をしたんじゃないだろうか。
SONY UBP-X800M2(前編)
以前使ってたBDプレーヤーが壊れて以降あれこれ検討したりしなかったりした結果、ソニーのUBP-X800M2というプレーヤーを購入しました。
とりあえず自分がこれ系のプレーヤーに求める条件を書き出すと、
- BD、DVD-Video、CDに加えてSACDのマルチチャンネル層を再生したい
……以上ですね。箇条書きにすることなかったわ。
このプレーヤーはそのSACDに加えてなんとDVD-Audioの再生にも対応しているというのが最大の魅力でありセールスポイントと言っても過言ではないだろう。統計でいっても自分の周囲でこの機種を買ったのは自分ひとりで自分はDVD-Audio再生が決め手だったからつまり100%、購入者全員がDVD-Audioの再生を視野に入れてこの機種を選んでいるということになる*1。
AV情報関連のサイトとかを見るとだいたいエントリークラス的なポジションだけどソニーが国内で販売しているプレーヤーのなかではハイエンドというよくわからん位置づけで、長らくデジタルで出力しちまえばなんとかなるやろと安物BD/DVDプレーヤーしか使ってなかった自分にはちょっと高い買い物となります。
ソニーのAV機器ラインナップってデノンとかヤマハみたいに安いのから高いのまでずらっと取り揃えてるんじゃなくて、最上位機種でその2メーカーでいうところの中堅どころあたりの「最新の機能がだいたい揃ってて性能もお値段もそこそこ」ぐらいな感じなのですね。いちばん高いAVアンプでもDSDのダイレクト再生に対応してないのがちょっとさびしい。
というわけで着弾。本体は薄さのわりにけっこうずっしりしてて低価格帯の機種との作りの違いを感じる。
がんばって設置したけど前面のツヤツヤしたパネルにスマホのカメラをかまえた不審者や床に散らばった洗濯物が映り込むので本体の写真は無しの方向でお願いします。
UBP-X800M2の出力端子はHDMIと同軸のみでアナログ出力をすっぱり切り捨ててしまっている。かわりに通常のHDMI出力に加えて音声信号専用HDMI出力というマニアックなものを搭載しているのですが、とりあえず今のところはAVアンプと普通にHDMIケーブル1本で接続しただけで試してないです。
あと本体前面にちっちゃい電源ランプ以外なんの表示窓も無いのでオーディオ目的で購入された方々には不評っぽいけど、デスクまわりにパソコンやらオーディオやらをひとまとめにしてる自分は特に困ってない。
CD/SACD/DVD-Audio
とりあえず手近にあったそれぞれ特徴がありそうな音楽ソフトたちをあれこれ再生。
小室哲哉とMR. BIGはマジでこのときちょうどそこにあっただけ*2なのでスルーとして、ブーレーズのハルサイとLa Spagnaを再生してみたらあきらかに以前と比べてノイズが減って鳴らしやすくなっていてびっくりした。
自分が使ってるAVアンプはYamahaのRX-V479という当時非常にお安く入手できた機種で、機能的にも性能的にもかなり健闘しているとはいえやっぱりお値段相応の非力さがある。
これと低価格帯のBD/DVDプレーヤーでそれこそ写真のブーレーズのようなダイナミックレンジを広くとった録音を再生すると、ボリュームを上げていっても十分なレベルに達する前に「サーッ」という高音域のノイズが大きくなって聴けたもんじゃなくなってしまい鳴らしきれない、という感じだったのですよね。
自分はこれをどちらかというとAVアンプの出力不足が大きな原因と受け止め、まあ安かったし仕方ないよな〜そのうちもう一段くらい上のグレードの機種がほしいもんですねぇとか考えてたんだけど、プレーヤーをUBP-X800M2にしたらなんかノイズが無くなって静かになってしまいました。
これならクラシックの初期デジタル録音とかの、アナログ録音に比べてノイズが少ないからってダイナミックレンジ極端に広くとったらがっつり音量上げて鳴らさないと(かつそれが可能な出力のある再生装置じゃないと)ぼんやりした音でしか再生できなくなっちゃいましたみたいな音源でもわりと対応できるんじゃないかと。正直「安いプレーヤーでもデジタル出力できればだいたいOK」という気持ちでやってきた自分にはちょっとショックですらある*3。
ブーレーズのストラヴィンスキー『春の祭典』1992年盤はもうちょっと音量バランスとかがこなれた時期のものではあるんだけど、これはこれでスピーカーにしろヘッドホンにしろある程度以上出力に余裕がある再生機器でしっかり鳴らさないとオーケストラが実際に鳴らしてる音よりそれに付随する響きの印象が強くなって、なんとなくぼんやりした「ヌルい」演奏という感想になりがちだと思う。
それなりの音量で鳴らしてるつもりのところからさらに思い切ってぐいっと音量を上げていくとある段階から演奏のディテールや中低音の質量と残響のバランスがとれてダイナミックな鳴り方をするようになる、んだけどそうそうそんな大音量再生できるもんじゃねーよという。この時期のDGとかあるいはTelarcやLinnあたりの「残響過多」「残響に癖がある」と言われがちな録音って、その残響と楽器の実音のバランスがとれるところまで音量を調整してったときに本領を発揮するんじゃないかと思いつつ、それってかなりの音量ということであり、ちょっと自分にはどうしようもない感じ。
そういった諸々を踏まえてブーレーズのこの録音は現代オーケストラのダイナミズムにそれこそストラヴィンスキー本人の録音に通じるあの楽曲本来の舞曲としての軽快さを取り込んだ、ガチガチだったりやたら力押しだったりというのとはまた違った意欲的なものなんじゃないかと思う。
ところでおなじブーレーズとクリーヴランドの組み合わせで名盤と名高い(頭痛が痛いみたいな書き方しやがって)旧録音とおなじ1969年に『春の祭典』を代表する名演と言ってしまいたいエルネスト・ブールと南西ドイツ放送響の録音が存在していて、昔だったら聴こうと思ってもそうそう音源を入手できるものではなかっただろうけど今ならサブスクとかでほいっと再生できるのでみなさんぜひ聴いてください。
ブールがボウルになってるの、以前ミヒャエル・ギーレンがマイケルくんになってたのとおなじ味がする
こっちはフランスものというかパリものCDセットで、3枚目のディスクが上のアルバムと同一内容
閑話休題。
アップスケーリング
UBP-X800M2にはCDの16bit/44.1kHz音源(および圧縮音源)をハイレゾ相当までアップスケーリングする「DSEE HX」という機能も搭載されてるんだけど、目隠しをして他人にオンオフを切り替えてみてもらったりしたわけじゃないので「なんか・・・良くなった・・・気がする・・・!」以上のことは言えない。
写真のブーレーズや小室哲哉で試した感じ、この機能を使ってると残響というほどには離れきってない実音の周囲に付随する響き(それってやっぱり残響では?)がよりなめらかで柔らかくなったような……特に音量を上げていった際にそれがはっきりするような……でもべつにCDそのままでもわりとそういう感じなような……
どちらかというとCDより圧縮音源を用いた動画等の再生時に効果的なのかもしれないけど今の所あんま実感できる使い方をしてません。
SACD
La SpagnaのSACD層ですが、低価格帯AVアンプであるRX-V749は当然ながらDSDのネイティブ再生には対応していないのでプレーヤー側でPCM変換して出力しています。
RX-V749もDSDをPCM変換しながらの再生に対応しているけど処理能力の問題なのか高音域にずっと「サーッ」って他のメディア再生時より大きめのノイズが存在し、たまに「プツッ」ってノイズが入ったりもする。
※書き上げてから気づいたんだけど、これもあるいはAVアンプじゃなくて前のプレーヤーのDSD出力の限界だった可能性があることを失念してました。
UBP-X800M2側での変換はさすがにノイズもなく静かで安定していて、欠点はハイブリッドSACDの再生する層(マルチch層/2ch層/CD層)を切り替えるのにいちいち設定画面に入らなきゃならないことくらい。
あとUBP-X800M2側でDSDをPCM変換して再生したところAVアンプ側の信号情報は「176.4kHz」表記になってました。これはDSEE HXを切り替えても変わらず。なおこのAVアンプは信号情報の表示画面にビット深度が出ない。
AVアンプとプレーヤー間はHDMI接続だからこの品質として同軸出力の方だとどうなるのか気になるところではあるんですが、それを確認するためにわざわざ普段使わない同軸を繋げてあれこれやるのが億劫なので手をつけてません。
いちどSACDの2ch層を再生する際にステレオの片方のチャンネルだけが両方のスピーカーから再生される疑似モノラルみたいな変な状態になったのだけど、AVアンプ側を再起動したら治ったのでそっちの問題かもしれない。
再生してたのがちょうどモノラルとステレオが混在しているTHE ROLLING STONES『Singles Collection: The London Years』のDisk 2からDisk 3にかけてだったんでしばらく「あれ、モノラルだとミック・テイラーのギターめっちゃ音小さいんだな」とか「やっぱこっちのOut of Timeはモノラルだと自然だよな」みたいな感じで気が付かなかった。
正常な状態で再生したOut of Timeは残念ながら?この通りのステレオ・ミックスだった。まあこのミックスにどうこう言うんだったらふつうにクリス・ファーロウの聴けよという話ではある。
DVD-Audio
といったところで本日のメインディッシュであるDVD-Audio、とりあえずはKING CRIMSONの『In the Court of Crimson King』40周年盤(の5.1chリミックス音源)なのですが、いや最高ですね。
ちゃんと「DVD-AUDIO」として認識してる証拠写真。“待って”たぜェ!!この“瞬間(とき)”をよぉ!!*4
DVD-AudioとDVD-Videoは設定画面から切り替えられます。
ぶっちゃけ「CDとハイレゾ」みたいな微妙なものやなんなら「きっちりエンコードされたmp3やAACとロスレス」みたいなのと比べてDolby DigitalやDTSとロスレスだとわりと違いが出るので逆に「高音域の伸びやかさや滑らかさがぜんぜん違う」という当たり前のことぐらいしか書けない面もあるんですがそこはそれ。
とりあえず「Moonchild」インプロ前半でリアスピーカーまで展開するヴィブラフォンの響きが、以前のプレーヤーでDTS再生した際には完全に限界状態でノイズまみれになってたのがUBP-X800M2でMLP Lossless再生だと綺麗に(録音段階からある程度歪んでるけど)鳴らしきれる!うれしい!!気持ちいい!!!現場からは以上です。
でもちょっと冷静になって確認してみたらそもそもプレーヤーが良くなった結果DTSも以前と比べてかなり健闘するようになってますねこれ。MLP Losslessと比べるとあきらかに高音域がガサガサしてて残響が伸び切らずにかき消えてしまう感じがするけど、それでも24bit/48kHzなだけのことはあった。
ちょうどこのUBP-X800M2導入にあわせてAV機材詰め込んでる棚の配置とかを再検討してる*5ので、それが終わったらサラウンドのセッティングをやり直してあらためていろいろ聴いてみます。あと関係ないけどクリムゾンの最高傑作は『Lizard』か『Larks' Tongues in Aspic』で選べない派です。そんな中途半端な派閥あるか?
プリエンファシスCD
ついでに引っ張り出してきて確認したプリエンファシスかかってるCD。
このREO SPEEDWAGON『Hi Infidelity』は1982年10月1日に日本でリリースされた、つまり世界で最初に発売されたCD数十タイトルのうちの1枚。この時期のCDはプリエンファシス仕様になってるものが多いんじゃないでしょうか。
プリエンファシスCDはものすごくざっくり言うとレコードでのイコライザーカーブとおなじ、高音域をわざと強調した状態でディスクに記録しておいて再生時にそれを復元することで音質の劣化を避けるというCD初期にあったやつで、プレーヤーの性能が良くなるとともに必要なくなった的な流れだったと思った。
再生してみたら画面上にこれといった表示は出ないながら、聴いた感じちゃんとデコードされたまともなバランスの音になっている。
多少まったり気味だけどそれなりにクリアで伸びやかな高音域と、小音量だとスカスカだけどボリュームを上げていけばそれなりに厚みの出る中低音で、手持ちのUS盤レコードのドンシャリ系爽快サウンドとはまた違った綺麗な音作り。いま聴いてもけっこう楽しめるというかこれあきらかにプレーヤー自体が良くなった恩恵を受けまくってるな。
ちなみに本来のエンファシスはアナログ回路でもって処理する想定のものだったはずで、本機を含め現在のプリエンファシスCDに対応している機器はおそらくほとんどがデジタルでその処理を再現してると思われるので、そのあたり気にする人は気にするのかもしれない。
続く
ほんとはDVD-VideoとかBDとかあえて目を背けてきた他の機能とかについて書いておきたいんだけど、いつまで経っても着手できずここまでの内容すら放置しすぎて9月中にアップできなかったのでとりあえず投稿しちゃいます。水星の魔女みたら続き書くから…あっでも最近労働で体力削られるあまりFGOも触れてなくて…イベントは参加できなくてもガチャだけは回すのが自慢だったのに前回はそれすらできなくてですね……
*1:そもそも俺の狭い交友関係内でレコーダーでもなけりゃゲーム機でもない再生専用機なんて持ってるやつがほぼいないという説もある
*2:MR. BIGはこの前届いたばっかり、小室哲哉は知人に「歌手としてもフローレンス・フォスター・ジェンキンスと並ぶ逸材」とかテキトウなこと言ってプレゼンしたとこだった(どっちに対しても失礼すぎる)
*3:「こ、こんなの覚えさせられたらもどれなくなっちゃうっ……(ビクンビクン」とか書きかけたけどさすがに自制心が働いた
*4:とはいえDVD-AudioってSACDやBDと比べれば多少は融通が利くメディアなわけですが
*5:「ラックあっちに動かすか〜」となにげなく引っ張ったらケーブルの長さが足りてなくてあわや落下事故だっただけ