Hergest Ridge / Mike Oldfield (1974/2010)

 

Hergest Ridge: Deluxe Edition

Hergest Ridge: Deluxe Edition

 

24-bit digital remastering by Paschal Byrne at the Audio Archiving Company, London

2010 5.1 Surround Mixes by Mike Oldfield

2CD+DVD

 

1974年リリースの2ndアルバム。タイトルとジャケットから連想されるイギリスの自然風景のイメージどおり、トラッド・フォーク色の濃いゆったりとした曲展開が特徴。

ただし牧歌的で穏やかな曲調にあっても常に一抹の寂しさというか諦観のようなものがつきまとい、ことあるごとに厳しさが表出する作品でもある。しかもアルバムクライマックスで穏やかな主題に回帰したかと思いきや最後の最後に残るストリングスの音は不穏であり、結局まったく救われていないことを予感させる。

このどこか淡々とした楽曲展開はむしろ如何ともし難い危機的状況の現れなのでは、とか考えるのが楽しい傑作です。

 

オリジナルのジャケットはおそらくハージェスト・リッジで魚眼レンズを用いて撮影した風景をあしらったものだったが、2010年リイシューでは同地の航空写真に変更された。デラックス・エディションのDVD再生画面でもこの航空写真が映し出され、模型飛行機が脈絡なく飛び交っている。

音声は例によってDolby Digitalのみ。考えてみるとこのシリーズのDVD、ステレオ音源のハイレゾくらい同時収録する余裕あるはずなのでは?

ところでこのデラックス・エディション、手持ちの盤ではなぜかDVDディスクのレーベル面にDVDではなくCDロゴがプリントされているというあきらかなエラーがあったり。

 

マイク・オールドフィールド本人によるサラウンド・リミックスは例によって作品に集中しやすい良好な仕上がり。彼のサラウンド・リミックスはだいたいどれも良くて、不満があるとしたらサラウンドそのものの出来以外の部分だったりします。

メロトロンや女性コーラスの広がり具合、Part 2後半のいわゆる「Thunder Storm」場面の迫力はサラウンドならでは。加えて前作『Tubular Bells』のリミックスほどではないけど低音域がけっこうブーンと鳴る箇所もある(←サブウーファーが振動するととりあえず嬉しい)。

 

リミックスに際して細かなカットや追加が行われており、特にPart 1は印象がけっこう変わっているように感じる。たとえばPart 1中盤のオーボエ部分前にアコギによる前奏的なパートが追加されていて、効果的に雰囲気を高めていてすごく良いと思う。

また後半の展開への導入となるチューブラー・ベルズ部分のあと、オリジナルでは一旦ベースのみになる箇所がカットされ、さらにマンドリンかなにかによる「チャッチャッチャッ」って感じのリズムがけっこう大きめのバランスで鳴り続けるように変更されている。これは正直次の展開への導入が急になる上にマンドリンの音量が大きすぎて邪魔なように思います。

 

オリジナル・ミックスはこれ以前にリリースされてたCDが『Boxed』収録の別ミックスによるものしか無いためなにげに初CD化。リマスターも基本的に良好だが、おそらくマスターの劣化によると思われるノイズが入る箇所があるのと、Part 1イントロがオリジナルのLPではカットインだった(らしい)のがフェードインに変更されている。

ステレオ・リミックスは例によってあんま聴いてないです。

 

ボーナス・トラック、シングルB面曲の「In Dulci Jubilo (For Maureen)」が聴けるのは嬉しいんだけど、アルバム『Platinum』までのデラックス・エディションをすべて集めても70年代のマイク・オールドフィールドのシングル・リリースのみの楽曲をコンプできないのどうにかなりませんかね?

デモ・バージョンはなんと断片ではなく全曲を収録している。楽器構成が素朴なためもあってか、実際に完成された本編より素直でほのぼのとした印象を受ける。音質もこういうものとしては悪くないので分析とか確認のためじゃなくても普通に楽しく聴けます。