プライムビデオで観た映画メモ
どっかにメモっとかないとぜったい後でなに観たか忘れるし、逆にタイトルと感想ひとことでもメモっとけばあとでわりと思い出せる(場合もありうる)のでやっとく。
『トップガン』(1986)
『トップガン・マーヴェリック』の予習に観たやつ。
OPについて前回の記事で「「Top Gun Anthem」のまだギターが入ってこない前半部分」って書いたあと再確認したら正確には「ギター抜きのバックトラック」でした。こいつをひたすら繰り返して焦らされるとべつに嫌いなわけじゃないけど特別好きでもない「Danger Zone」で「よっしゃきたーーーっ!」という気分になる。
BGMとして流れるのはケニー・ロギンスとかBERLINあたりながら劇中で登場人物たちに歌われるのはTHE RIGHTEOUS BROTHERSだのジェリー・リー・ルイスだのという古さ。
特にマーヴェリックが「You've Lost That Lovin' Feelin'」を歌って女の子にアプローチする場面は「こいつ何やらかすかわからんから嫌だな……」と身構えてたらこれだったので思わず笑っちゃって、しかもサビ前のコーラスが入ってくるところでなんとなくあわせて歌ったら劇中の他の客たちも歌い出したのでたぶん俺はあの場に居ました。なおその後の女子トイレ突撃でスッと冷静になった模様。
マーヴェリックは言うなればとんでもねーいたずら小僧なクソガキなんだけど、演じるトム・クルーズがなんか異様に可愛くてこれじゃ男も女もみんな「まったくしょ〜がね〜な〜」ってなるよねという謎の説得力が出てる。いや本来は可愛いからじゃなくてそれでも評価せざるを得ない実力があるとか、マーヴェリック本人は知らないことだけど彼の仲間を助けるために危険を顧みない姿勢が彼の父親を知る上官たちに刺さるとかが基本的な筋のはずなんですが。
そのくせ両親の話で心の傷をチラつかせたり相手がその気になってきたら引いてみたりと立派に恋の駆け引きしやがってなんなんだこいつは。とりあえずアイスマンがギャグこそつまんないけどあれでけっこう気を遣うタイプなので、そりゃアイスマンのほうがギャグはつまんないけど出世するというのはわかる。
飛行機に関してはよくわかんないながら主人公たちの機体がF14という名称で、これは翼が可動するのでちょくちょくシルエットが変わるということさえ認識できてれば、登場機体自体は絞られてるのでそれなりに状況を把握できているかのような気分で観てられた。飛行機がたくさん飛んで動き回ってるととりあえずうれしい。
プライムビデオにあるのはたぶん2005年頃のリマスター版。DVDはこの時期を境に仕様の異なる盤がリリースされていて、BDのほうもたぶん同一ソースなんじゃないかと。
オリジナルの音声はたぶんDolby Stereoで、リマスターに際して音声もあらためて5.1chで制作し直されたと思われる。逆に言えばこれより古いDVD収録の音声は形式こそおなじ5.1chでもよりオリジナルに近い音源なんじゃないだろか(憶測まみれ)。
あと2020年頃に出たUHDBDにはDolby Atmosも収録されてるっぽい。
『07/ドクター・ノオ』(1962)
007シリーズって昔ちょろちょろ観たはずなんだけど、覚えてるのはゲルト・フレーベの腹が飛行機の窓に引っ掛かるシーンと黄金銃の組み立てシーンとジャパニーズNINJAが天井裏から糸を垂らして毒を盛るシーンくらいなので、せっかくプライムビデオにあるし最初から観てみるか〜と再生してみたもの。たぶん初見。
ジェームズ・ボンドのテーマ自体ぶっちゃけオリジナルよりこっちに聴き馴染みがある状態。
まるでTHE VENTURESのようにキレの良い演奏(直喩)。
本編がはじまって「おお、これが第一作のオープニング……」と思ってると急にいかにも南国っぽい陽気な音楽に切り替わって驚く。来たぜジャマイカ レゲーじゃないか(ロックステディもまだな時期だろ)。
そういやあっちのほうが政治的に注目を集めたのとか文化面でいうなればアメリカにおける「異国情緒」みたいなのが流行したのもわりと近い時期なのでは。いやこれはイギリスの映画ですが。
ジェームズ・ボンドというキャラクターをはじめてまともに観たわけだけど、自身の立場とか任務のわりに*1看板しょって歩いてるようなある種の怪人物で、しかも無神経とか無防備なんじゃなくて自分が狙われるのをわかった上でわざとそのように振る舞って手を出されるのを待ち構えているタイプの趣味の人なんやろーなーという印象だった。ちょっとした運の良し悪しでサクッと殺されるだろうしそれこそ気が緩んで口をつけたコーヒーに案の定睡眠薬が盛られてるくらいの人生綱渡りっぷりでしかも自ら進んでそういう状況を作り出してるまであるみたいな。
どうも島を買い取った中国系の男が怪しいって流れからあからさまに欧米の考えるアジア系美人みたいなやつに誘い誘われ当然のごとく罠をはられても嬉々としてかいくぐるし、なんならそのカーチェイスシーンがいちばん楽しそうじゃないかこいつ。
ジェームズ・ボンドのそういう在り方が通用するくらいの緩さがこの作品のリアリティラインで、なんとなれば例のドラゴン戦車を「な、なんてこった…さすがのボンドもこいつにゃかなわないぜ……」くらいの気分で観るのがちょうどいいのかもしれん*2。
ドクター・ノオはむこうの俳優さんを中国系に寄せようとした結果今やったらえらい騒ぎになりそうな状態になってるけどまあ60年前の作品やしこれはこれでいい感じの雰囲気出してる悪役。最後は「いやその義手のパワーで鉄柱に握った跡残しながら這い上がってくるんじゃないのかよ!握力アピールはそのための伏線では?」とか思ったり思わなかったり。
なんか嫌味っぽく読める書き方になっちゃった気もするけどそれだけわいわい言いながら観てたということで(ひとりで)、セリフや人物の振る舞いに気が利いていてちゃんとおもしろい娯楽映画でした。こんだけおもしろけりゃそりゃシリーズ化するわ。
めちゃくちゃ有名なドクター・ノオとボンドのマティーニに関するやり取りが実際に観たらなんかすごくグッとくる会話だったり、CIAのにーちゃんとのスーツの仕立てに関するちょっとしたやり取りとかもなんかよかった。
ボンドの拳銃を交換させられるシーンも、これ自体印象的なうえにどんなキャラか知ったあとだとこいつベレッタの威力の低さや不発でピンチって状況を楽しんでたんじゃないだろうな……?と思える。劇中での拳銃に関する描写と実物ではだいぶ話が違ったりもするらしいが。
ところでスパイものといえば『ミスター・モト』とかリブートしてみたり……いや無理か。せめて原作を日本語で読めるようになるといいんだけど。
『サイコ』(1960)
有名だけど微妙に観たことなかったので。なにが微妙って、そもそも有名すぎてネタバレもへったくれもありゃしない作品なうえに昔テレビでリメイク版をそうとは知らずに途中から観たことがあるんですよね。
その時はテレビを付けたらちょうど探偵さんがなんか調査してるっぽい場面で彼はそのまま屋敷で何者かに襲われてしまい、沼に沈んでた車を引き上げるシーンあたりでやっと「あれ、これってモノクロじゃなくてカラーだけど『サイコ』ってやつなのでは?」と気づいた次第で(最後の最後じゃねーか)。
あらためてオリジナルを最初から観たことで、本来はいかにも主人公っぽいお姉さんが大金を持ち逃げしてさてどうするどうなる!?というサスペンスかと思いきや中盤で大金とは無関係にいきなりぶっ殺される、しかもたぶん当時としてはかなり挑戦的(むしろ挑発的?)だっただろう念入りな描写で、というデカいどんでん返しのある作品だったことがやっと認識できた。これあれだ、古典的名作が古典的名作であるがゆえに発表当時衝撃的だったギミックが割れちゃってる状態で作品に触れることになるパターンのやつ……!
バーナード・ハーマンの音楽もあまりにもパロディを耳にしすぎていたせいではじめてなのに「あれ、こんなんだったっけ?」ってなったりしてた。はじめて観てるのにこんなんだったもなにもあるか。
全然関係ないけどこの人がロンドンフィルを指揮したホルストの『惑星』が、多分に演出的ではあるもののこの曲にもともと内包されているうねうねしたものを引き出した濃い演奏でとても良いです。
とにかくアンソニー・パーキンスの演技とか映画としての見せ方が魅力的で、彼が画面に現れた当初のちょっとナヨナヨしてそうで吃りはあるけど親切な好青年みたいな感じのとこから段階を踏んで変化している印象操作が最高。沼に車を沈めるシーンでの表情の変化が最後にほぼ答え合わせされるのもいい。あの最後のシーン、本編観るまではたんにドクロっぽいものとしか認識してなかったけどつまり母親の顔(ちょっと乾燥気味な)がオーバーラップしてるのか。
アンソニー・パーキンスって自分は子供の頃に「オールディーズ・ベストヒット」みたいなやつで聴いた「Moonlight Swim」を歌ってるひとと認識していたので、じつはわりと最近までこのノーマン・ベイツ役のひとと同一人物だということがわかってませんでした。
あるいはアメリカだと俳優としての「Anthony Perkins」表記と歌手としての「Tony Perkins」表記で区別してたのかも知れないけど、自分の記憶にあるCDにはふつうに「アンソニー・パーキンス」って表記されてたような。AnthonyとTonyとなるとどうしてもGENESISが思い浮かびますね(本当に関係ない)。
あとオープニングのホテルの一室で密会する男女の部屋に窓から入っていくカメラがわかりやすく「覗き見」という欲望を具現化してるのと同時に、逆に本来なら不愉快で見たくもねえ男と女のあれやそれを半ば無理やり覗き見させることで「これからこんなもんじゃないもっと不愉快なものをお見せしてさせあげますよ」とでも宣言してるかのようでもあってよかった。ある種の不愉快さって画面越しならエンターテイメントだもんなぁってなる。
この映画、オリジナルは当然モノラルだろうけど配信されてるのはなんか音が後ろから聞こえたりもするのでリマスターとかレストアとかされてるんだと思う。
あとこれって続編あるんすね。しかもちゃんとアンソニー・パーキンスが出演してる……
『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(1968)
以前CATVで『ゾンビ』(Dawn of the Dead)を放送してたとき何気なく観てみたらやたら面白くて3回くらいリピートしたので、ほかの作品も観なきゃなあと思ってたらこれがあった。著作権がアレしているおかげだろうか。
『ゾンビ』の前作でもあるからゾンビの身体能力もそんなもんだろうと思ってたら冒頭のやつがけっこうアグレッシブで、走らないけど歩く速度はけっこう早く(正直小走りくらいしてない?)石で窓ガラスを割る知能がある。他のゾンビも刃物を使ったりするし、全体的な脅威度が『ゾンビ』より上じゃない?
いちおう主人公の片割れなのかも知れないお姉さんはお荷物系ヒロインというか、屋敷までの逃走劇で完全にキャパオーバーしちゃって以降は音の出る置物くらいな感じ。まあイラつきポイントを貯める用のキャラになってるんだけど『ゾンビ』のお姉さん以上になにも知らない状態でいきなりひどい目にあってる上に時間の猶予がほぼ無かったから……
もう一方の主人公っぽい青年にここまでの経緯をまくしたてるシーンで、冒頭のゾンビに遭遇した際に実際は黙ってやり過ごそうとしたのを「謝ろうと思って声をかけたら……」なんて言ってるのが、しょうもないところで見栄を張りやがってという可笑しみで逆に状況のしんどさが際立っていい。
モダン・ゾンビ第1作にして「手近なもので籠城戦の準備」「立て籠もった内部での仲間割れと、それに拍車をかける銃の存在」「生死不明(たぶん死んでる)な身内との再会」「ゾンビに傷を負わされた子供とその親」あたりのキーワードで欲しいものぜんぶばっちり取り揃えてあるので嬉しくなっちゃう作品。
フレッシュな内蔵パクパクもさっきまで元気にガソリンこぼしてた気のいいにーちゃんねーちゃんの顔が思い浮かんで◎。
クライマックスの崩壊感に最後の観てて思わず制止したくなるけどいざ自分がその立場だったらじっとしてられるかとなるとなんとも言えない青年の行動と、いやー充実した作品でした。
といった感じでニコニコしてるとエンディングで急に社会派っぽくなってさてどんな顔したもんかとなる作品でもある。
『武器人間』(2013)
ナチス驚異の武器人間軍団 vs またしてもなにも知らないソ連兵たち。原題は『Frankenstein's Army』。
フランケンシュタイン博士の誇るビックリドッキリ武器人間が惜しげもなくバンバン登場してそれぞれ事情はあれどだいだいロクでもないソ連兵たち(とついでにドイツ兵たち)が物理的にひどい目に合うお話。それだけだしそれで十分みたいなやつ。
「私は衛生兵よ(キリッ」からの脳みそポロリとか博士のそれにしたってクソ雑な手術とか笑いどころもたっぷり。あのプロペラエンジンに手足くっつけたみたいなやつはなに考えて作ったんだ。
そういえばナチスの手で改造人間として蘇ったリヒャルト・ワーグナーとフランツ・リストが宿命の対決を繰り広げる『リストマニア』という映画があって是非観てみたいんだけどBD化とかされんもんですかね。そもそもDVD化されてたっけ?
最後に
感想は1行くらいにしとかないと後で読み返したとき書けたことより書けなかったことのほうが気になっちゃうからやめとけと言ったのに……