WEATHER REPORT (1971/1991)

 

Weather Report

Weather Report

Amazon

 

 

1971年5月12日リリース。ジョー・ザヴィヌルウェイン・ショーターマイルス・デイヴィスのもとを離れ構想を練っていた新グループにミロスラフ・ヴィトウスが合流する形で結成されたジャズバンド、WEATHER REPORTのデビュー・アルバム。

 

オーストリア出身のジョー・ザヴィヌルは1932年生まれ38歳、ニュージャージー出身*1ウェイン・ショーターは1933年生まれ37歳。

これに対してチェコ出身のミロスラフ・ヴィトウスは1947年生まれ23歳で、多少の年齢差がある。

3人ともここに至るまでのキャリアがある方々だけど自分は「Mercy, Mercy, Mercy」くらいしか知らないので、これを取っ掛かりにできたらいいなという気持ちで書いてます。

とりあえずマイルス以外でもこの前年にレコーディングされたジョー・ザヴィヌル『Zawinul』ですでに3人は共演していて、ミロスラフ・ヴィトウス『Purple』*2にザヴィヌルが参加したりもしているっぽい。

 

 

この時点でのWEATHER REPORTはザヴィヌル、ショーター、ヴィトウスの3人によるグループと言って過言ではなくその他のメンバーは流動的で、アルフォンス・ムゾーンとアイアート・モレイラもこの1作のみの参加。

パーカッションは雰囲気作り、ドラムは3人の演奏に薪をくべるのが主な仕事となっている。

クレジットされていないがドン・アライアスとバーバラ・バートン*3がパーカッションで参加してるらしい。

 

エンジニアはWayne Tarnowskiだけど、いつ頃どこのスタジオでレコーディングされたのかは明記されてなくてよくわからん。とりあえずWikipediaによると1971年の2月から3月にかけて作業が行われたっぽいが。

 

ジャケットの写真はEd Freemanによるもの。長いことネット上の小さい画像でしか見たことなくて、ぼんやり雪山の航空写真かなにかだろうと思ってたらもっとよくわからないものだった。

あとなにげに裏ジャケにはクライヴ・デイヴィスが文章を寄せている。

 

 

基本的にアルバム全編を通じて最初に主題を提示してソロを回していくオーソドックスなスタイルの演奏ではまったく無く、3人が持ち寄った素材を元にスタジオで相互反応的に作曲行為を積み重ねていった様子の記録のようであり、むしろそうであるかのように事前に計画されたもののようでもある。

自作曲でも主題を自ら提示するのを避けるザヴィヌルの演奏に顕著だけどショーター、ヴィトウスも必要な場面以外でははっきりメロディを提示しきってしまうことをなるべく避けて断片的なものに留め、他の奏者のための空間の余白をつねに確保しているような、そう聴こえるように作曲されているような。

いかにも即興っぽい奏者が他の奏者に反応した結果の積み重ねのようでありつつ、エレピの左右のパンニングやオーバーダブなど、事前に計画されていなければ最終的にこんなふうに整えられないんじゃないか?と思わせるような箇所が散見される。

 

ザヴィヌルが関わった時期のマイルス・デイヴィスは、スタジオでまとまりのない散漫なセッションを演りっぱなしにし、そのテープをテオ・マセロが自由に切り貼りしてアルバムという完成品へとでっち上げ、それを聴いたマイルスが次のセッションにフィードバックし……というスタイルをまさに確立する時期にあった。

ザヴィヌルとショーターがそういった工程をどの程度認識していたかはわからないけど、少なくとも本人たちがスタジオで行った演奏と実際に出来上がったレコードの間にある多大なギャップは明白なわけで、それらの音楽的成果を踏まえた上で「複数の立場の人間が関わって知らんうちにそうなってた」のではなく「あくまで自分たちのコントロールで行う」というのがこの時点でのWEATHER REPORTだったんじゃないかという気が今はしてるんだけど、今後いろいろ聴いたりザヴィヌル関係の書籍とかをちょろっと読んだりしたら一瞬で撤回することになるかもしれない。「けど」が多すぎるけどそこまで考えてるとなんも書けなくなるのでこのままいきます。

 

あと正直このアンサンブルにパーカッション要らなくね?と思っちゃったりするんですが、パーカッションによるお膳立てみたいなものによって主役3人が演りやすく、もっと言えば「音を出さない」という選択肢をとりやすくなっている面があるのかもしれない。

ステレオのレイアウトからして3人のスペースは一定以上確保されるようになっているので、そうした沈黙の際にたとえパーカッションが鳴っていともその瞬間その場所はあくまで空白であると認識できるようになっている。

でもこれらのパーカッションのうちどれほどが他の楽器と同時に演奏されどれほどが後から追加されたのかさっぱりわからんし、この文章全部自分の妄想でしかないんですよね。

 

とりあえず書いてる本人が自分でよくわかんなくなってる御託を抜きにしても、ヴィトウスのけっこうグイグイ行くベースがかっこいいし、ザヴィヌルのエレピの一粒一粒が磨かれたようなサウンドが最高に気持ちいいのは確かです。

 

 

www.youtube.com

こういう音源をYouTubeビットレートで聴くのはけっこうきびしいな……

A1「Milky Way

アルバムの導入にあたる不思議な音響の小品。ザヴィヌルとショーターの共作。

1:11あたりのアタック感や全編を通じて聞こえるゴソゴソとかカチャカチャしてる音などから考えて、ピアノの弦をなにかしらの方法で鳴らし、それを切り貼りして制作したんだと思う。音の印象的にピアノのダンパーを勢いよく開放した際にうっすら鳴る開放弦の音を増幅したような感じ。

あと1:37あたりで一瞬だけサックスっぽい音が紛れ込んでびっくりしたり、遠くでこの音響と関連しているのかそもそも意図したのかどうかすらわからない別の音楽らしきものがうっすら鳴ってたり。ピアノを録ってる最中に隣の部屋でやってたリハかなにかが乗っちゃったとかもありそう。

環境音楽的という表現がされたりして実際後年のそういったものに影響を与えた側面もあるんだろうけど、これ自体はどちらかというと現代音楽的な、ピアノの音響に対するアイディアと実践そしてその成果報告、みたいな趣のトラック。

あえて音量を絞って再生すると、環境音やホワイトノイズが小さくなって相対的にメインの音響が浮かび上がり、「ピアノの弦の音(たぶん)の切り貼り」じゃなく「不思議な音の連なり」という印象が強くなる。

 

www.youtube.com

A2「Umbrellas」

ここからグループとしての演奏が始まり、ドラムのビートとブイブイいうエレキベースで前曲とのコントラストが強調されてる感じ。ザヴィヌル、ショーター、ヴィトウスの共作。

A→B→Aという楽曲構成があって、AからBへの特徴的なリズム・チェンジとかそれを踏まえてかまされるソプラノ・サックスの「プッ」てひと吹きがあまりにも『Bitches Brew』期マイルスなんだけど、むしろあの音楽性に対する自負からこういう演奏をしてるのかもしれない。

とはいえアンサンブルのあり方は独自色が強く、ベースがドラムの支援のもとある程度演奏を主導していくような立ち振舞をしつつもサックス、エレピと対等に近い、互いに互いの出方を見つつ押したり引いたり、あるいは互いに反応して形を変えつつ自らの領域の収縮拡張を繰り返していく関係性を構築している。

 

A3「Seventh Arrow」

ヴィトウスの楽曲。

前曲に引き続きアップテンポなリズムに乗って3人が相互に反応していく楽曲なんだけど、その3人のやり取りのかなりの部分が事前に作曲されているようにも思える。本当にそうなのか、だったとしてそれを手掛けたのがヴィトウスなのかちょっとわからないが。

ベースはアコースティックながらこちらもずいぶんブイブイいっており、エレピもリングモジュレーターでちょっとやんちゃする。

 

A4「Orange Lady」

ザヴィヌルの楽曲で、これ以前にマイルス・バンドでも録音している(発表はこちらが先)。

マイルス版の初出は1974年の『Big Fun』でその際は「Great Expectations」後半部分という扱いだったが、「Orange Lady」自体の楽曲構成はおなじA→B→A(マイルス版は前半A部分の繰り返しがやたら多いけど)。

マイルス版ではB部分で明確にリズムが強調され盛り上がるのに対してこちらはリズムは明瞭にならず、ゆったりとリラックスした演奏のようであり、ベース、エレピ、サックスの3者が互いに相手の様子を探りながら慎重に駒を進めていく独特の緊張感がある演奏がもともとの曲調や散りばめられたワールド・ミュージック的なパーカッション類によって偽装されているようでもある。

A部分では主題をサックスとベースのボウイングで合わせてるんだと思うけどちょっと自信ない。

この楽曲自体「In a Silent Way」にテオ・マセロが加えた編集を踏まえたもののようにも思える。

 

 

B1「Morning Lake」

ヴィトウスの楽曲。

他の楽曲と比べて「雰囲気の維持」が主要な目標として掲げられているような趣があって、そういう意味では「Milky Way」より環境音楽的。

つまりエレピ、サックス、ベースの3人全員が旋律的になり過ぎず、あくまで抽象的断片的な範囲内で一定の空気感を維持し続ける試み、みたいな感じのもの。

あくまでそういう試みなので演奏上の目印みたいなものはあっても他の楽曲ほどきっちり構成されておらず、聴かせたいとこを聴かせたらさくっとフェードアウトする。でも右側に出てくるエレピって後から追加で弾いたものだと思うのでやっぱりどの程度作曲されてるのかわからん。

パーカッションは正直ちょっと説明的すぎて過剰なような。

 

www.youtube.com

B2「Waterfall」

ザヴィヌルの楽曲。「Morning Lake」に近いコンセプトだけどこっちのほうががっちり作曲されてる感じ。

左右に配置されたエレピの音の粒の連なりによって空間が維持および操作される。

タイトルとエレピのリフレインがあまりにもイメージ通りすぎて逆に枷になってる気も。

 

B3「Tears」

ショーターの楽曲で、ザヴィヌルやヴィトウスのものと比べると旋律的というか叙情的というか。

途中から混ざってくる男性のスキャットはタイトルのイメージから来てるんだろうけど、最初に聴いたときお風呂で気分が良くなったおじさんの声と思ってしまったせいでそのイメージから逃れられなくなってる。

 

B4「Eurydice」

ショーターの楽曲。

今作に収められたアンサンブルのなかで唯一ベースが明確にリズムを刻んでいるトラック。

そういう意味ではこのアルバムでいちばんオーソドックスなアンサンブルなんだけど、ここまでの楽曲でエレピ、サックスとベースがより対等に近い関係性で演奏を紡いでいくのを聴いてきたうえでこの楽曲に至ると、逆に違和感というか如何ともし難い不自由さを感じるようになる。

つまりベースがエレピ、サックスとの対等な関係を離れ一定のリズムを刻むということは、音楽のなかの一定のスペースをベースが占有し続けるということで、そうなるとサックスのほうもエレピと対等な関係性を築くにはスペースが足りず、ソロ楽器として振る舞うしかなくなってしまう。上を飛ぶか引っ込むかという極端な二択しか選べない、みたいな感じ。

 

 

WEATHER REPORTはこのアルバムのあとパーカッションをドン・ウン・ロマンに交代しヨーロッパ・ツアーを行うが、その途中ドイツでBeat-Clubに出演している。曲名は「Waterfall」になってるけど「Seventh Arrow」と「Umbrellas」のメドレー。

 

www.youtube.com

こうして聴くとライブでは全員もっとガンガン演奏してるし、ドラムとパーカッションもスタジオでよりずっと重要な役割になっている。そういえばクイーカはマイルス・バンドでもけっこう存在感がある(他の奏者がしっかりレスポンスを返す)楽器だった。

あとヴィトウスが若くてかわいい。

 

 

Reissue

今作は1991年にColumbia Jazz Contemporary Mastersシリーズの一環でVic Anesiniによるリマスターが施され、今に至るまで新規にリマスターされることもなければ廃盤になることもなくずっと売られ続けている。自分が聴いてるのもこれです。

Weather Report

Weather Report

Amazon

記事冒頭に貼ったのが現行品で、こっちは2009年のリプレス。

 

日本では独自にMaster SoundとかDSD Masteringで何度かリイシューされている。正直マイルス・デイヴィス関連とかで何枚か持ってるDSD Mastering盤は音圧高すぎて聴けたもんじゃなかった印象があるんですがこれはどうなんでしょう。

これは2007年DSD Masteringによる廉価盤。

 

Weather Report

Weather Report

Amazon

こっちは2017年に出た英Talking Elephant盤。これといってリマスターの表記はない。Talking Elephantはライセンス元のリマスター音源をそのまま使ってるのがよくあるパターンだから、これもふつうにVic Anesiniリマスターかもしれない。

 

 

SpotifyApple MusicにはVic Anesiniリマスターが配信されてるけどジャケット画像までColumbia Jazz Contemporary Mastersの赤枠そのまんまで、正直見栄えのいいものではないのでどうにかしてほしい。

Weather Report - Album by Weather Report | Spotify

geo.music.apple.com

 

 

あと上に貼ったBeat-Clubの出演映像は放送されたのこそあれだけだけど実際にはもっと長時間撮影されていて、2010年になって『Live in Germany 1971』というタイトルで全編収録のDVDがリリースされた。

なんか『Live in Hamburg 1971』ってタイトルになってるが。

 

 

*1:ひとりだけ国名じゃなくて州名なのはどうかとも思ったんだけど、まあアメリカで結成されたグループだしええか

*2:2022年3月現在にいたるまでCD化も配信もされてない……

*3:これ以外の経歴がよくわからない

Silver Machine 7" / HAWKWIND (1972)

f:id:perucho:20220206191625j:plain

 

1972年6月9日リリース。HAWKWINDの2ndにしてバンドを代表する大ヒット・シングル。

バーニー・バブルスのデザインによるピクチャー・スリーブも存在してるけど手持ちの盤はカンパニー・スリーブすらない状態で転がされてたのを拾ってきた感じ。

 

 

www.youtube.com

単純明快シンプルイズベスト。どんなバンドのどんな音楽か一目瞭然ならぬ一聴瞭然。

中盤あたりで電子音ノイズが高音域に広がって再生音量次第では広大な空間を形成する。たぶんもともと入ってた電子音とオーバーダブされた電子音とついでにシンバルが重なってそういうことになってるんだけど、手持ちの盤はけっこうボロくてサーフェスノイズが多く、そのノイズとこれらのノイズがわりと近い音域で展開されるもんだからさらによくわからん広がり方になる。うるさくてたのしいです。

歌詞はロバート・カルバートにより、アルフレッド・ジャリのエッセイ「タイムマシンの作り方」に着想を得たものらしい。

あと作曲クレジットのS. MacManusやプロデュースのDoctor Technicalはどっちもデイヴ・ブロックの偽名。なんやこいつ……

 

Recording

このシングルは1972年2月13日The Roundhouseでのライブ音源にMorgan Studiosでオーバーダブを行ったもので、元となるライブ音源はシングルに先駆けて『Revelations: A Musical Anthology for Glastonbury Fayre』というコンピでリリースされている。

ちょっとややこしいんだけど、このコンピは1971年の第2回Glastonbury Festivalを記念してリリースされたものながら収録内容は必ずしもこのフェスでの演奏ではなく、HAWKWINDの音源も1972年2月13日The RoundhouseでGreasy Truckers主催のチャリティー・コンサートに出演した際のものとなっている。

しかもそっちはそっちで『Greasy Truckers Party』というタイトルのコンピが似たような時期にリリースされていて、もちろんHAWKWINDのThe Roundhouseでの演奏も含まれてたりするのだ。

そしてこの『Greasy Truckers Party』、さすがにオリジナル・リリースでは「Silver Machine」が被ったりはしていないのだが、2007年にEMIがCD3枚に当日のフル・コンサートを収めたボックスセットをリリースするという快挙を成し遂げた結果、今度こそばっちり「Silver Machine」まで収録されたのでした。

まあ実際のところオリジナルの『Glastonbury Fayre』や『Greasy Truckers Party』はコレクターズ・アイテムの類なので、これでやっと「Silver Machine」の元音源を含めThe Roundhouseでのライブ音源をまっとうな手段で聴けるようになったとも言えると思います。しかもマルチトラック・テープからミキシングし直されていて音質良好。よかったよかった。

 

www.youtube.com

というわけでこちらがそのライブ音源。最後ぶつ切りなのはこのまま次の曲に移行するから。

ヴォーカルが、まあ、まあまあまあ。この音源が気軽に聴けるようになる以前から「ライブでのカルバートの歌唱力に問題があって、スタジオでレミーのリード・ヴォーカルに差し替えられた」という話は有名だったけど、正直それ以前の問題というか、誰がどんな歌詞をどんなメロディで歌うのか詰めてない段階でなし崩し的に演っちゃってるような印象を受ける。実際突然加入することになって曲を覚える時間もなかったドラムのサイモン・キングはチャック・ベリーの曲でも演ってんのかと思ってたらしいし。

 

Seven by Seven

www.youtube.com

B面「Seven by Seven」はRockfield Studiosでの録音。リード・ヴォーカルがデイヴ・ブロックで中間部にカルバートの朗読が入る。

このトラックはシングルのリリースからわりと早い時点でリミックス・バージョンに差し替えられたと思われ、そういう関係でオリジナル・ミックスとリミックス・バージョンの2種類が存在している。

上に張ったのはオリジナル・ミックスで、リミックス・バージョンはテープを再生しはじめたときみたいな音のイントロが追加されてるほか、全体的にサウンドがソフトになっていて俗にSoft Versionと呼ばれたり呼ばれなかったり。

 

 

f:id:perucho:20220206191629j:plain

英United Artists、UP 35381。

Gramophoneプレスでマトリクスは両面「1U」。ほかに「KT」の刻印があるけど意味はよくわからない。

ここに収録されてる「Seven by Seven」はオリジナル・ミックスで、確証はないけどB面のマトが「2U」以降だとリミックス・バージョンになるんじゃないかと。

ピクチャー・スリーブ無しで盤が全体的にボロくてサーフェスノイズ大きめでプチノイズもちょこちょこ入るけど、わりと初期に生産されて生き残ってきた盤なのかもしれない。

 

 

Top of the Pops

www.youtube.com

「Silver Machine」の大ヒットをうけてBBCTop of the Popsへ出演を依頼された際に制作されたPV。

HAWKWINDは当て振りパフォーマンスへの拒否感などもあってスタジオへの出演を断り、代案が実際のライブの様子を放送することだったらしい。

撮影は1972年7月7日Dunstable Civic Hallで行われ、音の方はシングルの音源にところどころ当時のテレビ番組らしい歓声をかぶせて使用。

この映像は結果的にダンサーのステイシアはもちろんのこと、ディック・ミックやデル・ダトマーのステージでの様子を伺えるほぼ唯一の貴重なものになった。

ステイシアは当時のライブの様子を捉えた写真でほとんど裸に近い姿にボディペイントのみでパフォーマンスを行っていることが確認できるけど、ここではBBCで放送することを考慮してか別にそういうわけでもないのか服を着用している。

これが続くシングル「Urban Guerrilla」のPVになるとおもいっきりトップレスで踊る姿を映してたりするものの、さすがにYouTubeにはアップロードされていないっぽい。

 

Reissue

「Silver Machine 」はHAWKWINDを代表する1曲なだけあってレコード時代には手を変え品を変え再発され、葬られても墓場から蘇って何度もリバイバルヒットしている。CD時代に入ってからもいろんなコンピで聴けるので、入手には困らないと思う。再録版?知らない子ですね……

記事冒頭に貼ったのは往年の名コンピ『Stasis - The U.A. Years 1971-1975』のもので、そもそも2ndアルバム『In Search of Space』のリマスター盤にボーナストラックとして収録されてたりも。

 

Stasis: the Ua Years 1971

Stasis: the Ua Years 1971

Amazon
In Search of Space

In Search of Space

Amazon

 

気になるのは2011年『Parallel Universe: A Liberty / U.A. Years Anthology 1970-1974』で、これ自体は貴重な音源を多数収録しブックレットも充実している良質なコンピなんだけど、ここに収録されている「Silver Machine」の新規リマスターはこれまでよりあきらかにノイズがひどくなっている。マスタリングの不備なのか、いい加減劣化が進んでいるであろうマスターの現状を伝えるものなのか。

 

 

「Seven by Seven」のほうもミックス違い含めフォローされていて、『Stasis』にはリミックス・バージョンが、『In Search of Space』ボートラにはオリジナル・ミックスが収録されてるほか、『Parallel Universe』にはこれまで未発表だった別ヴォーカルのものが収録されている。

 

 

 

 

 

 

www.youtube.com

 

Kings of Speed 7" / HAWKWIND (1975/2013)

f:id:perucho:20220201180934j:plain

 

1975年3月7日リリース、HAWKWINDのイギリスでたぶん5枚目くらいのシングル。

当時*1日本でもリリースされ、邦題は「スピード狂のロックンロール」だった。おそらくシングルの国内盤が出たのはこれが最後だったんじゃないだろうか。

 

scnsvr.hatenablog.com

 

このシングルはアルバム『Warrior on the Edge of Time』からの先行リリースで、基本的な経緯は上に張ったアルバム本編の記事で先に扱ってしまってるのでこちらには正直書くことないです(なのでアルバムと同時期に下書きを作ってそのまま放置してた)。

 

www.youtube.com

「Silver Machine」の流れをくんでるんだろうとは思いつつ、『Warrior on the Edge of Time』のアルバムの流れの最後に出てくるとちょっと違和感があったりもするトラック。この次のシングルが「Kerb Crawler」という意味ではしっくりくる面もあるけど。

ドラマーのアラン・パウエルによるとドラムが2つ入ってる。言われてみると右側にうっすらもうひとつのドラムセットが聴こえる(ほとんどシンバルしか聞き取れないが)。

もうひとりのドラマー、サイモン・キングはこのトラックでは演奏していないと思われる。このとき録音された残り2曲もドラムはたぶんひとりだし、まだ怪我の療養中だったりしたのだろうか。

 

f:id:perucho:20220201180941j:plain

 

手持ちの盤は上記した『Warrior on the Edge of Time』がAtomhengeからリイシューされた2013年のRecord Store Dayに際して復刻されたもの。

オリジナルのUK盤シングルのピクチャー・スリーブはおそらく初回出荷分のうちのさらに限られた盤にしか付属しなかった(と思われる)希少なもので、大半は通常のカンパニー・スリーブに収められていた。

この2013年リイシューはそのピクチャー・スリーブが再現されているのが最大のポイント。

なおオリジナルのスリーブがペラペラな紙質だったのに対して、このリイシューはぶ厚めのしっかりした紙質になっている。

 

f:id:perucho:20220201180949j:plain

盤は『Warrior on the Edge of Time』リイシューと同じくチェコのGZ Digital Media製。サウンドの傾向もおなじでちょっとカッティング・レベルが低いけどマスターに忠実な落ち着いた音質とも言えそう。7インチはもっとビリビリした音であってくれみたいな気持ちも正直ある。

 

このAtomhenge盤「Kings of Speed」はアルバムに収録されているのと同一のバージョン。

現物を聴いたことないので確証はないんだけど、当時リリースされた7インチは国によって間奏などにちょっとしたカットがあって短くなってたりしたはず。

Discogsや45catでレーベル面に記載されている再生時間を確認してみたところ、

  • UK盤:3分25秒
  • US盤:3分35秒
  • 西ドイツ盤:3分25秒

となっていた。

てっきりカットがあるとしたらUS盤かと思ってたんだけど、これを見た限りむしろ逆でカットがあるとしたらUKおよびドイツ盤ということになりそう。10秒しか違わないしこの表記自体どこまで信頼できるもんなのかよくわからんので、結局現物がないとなんもわからんかも。

 

f:id:perucho:20220201180954j:plain

B面はご存知「Motorhead」。

 

www.youtube.com

A面はSpeedで「それってアンフェt……」となりB面はこれ。両方ドラッグ・ソングじゃん。

 

 

*1:Discogsに載ってるプロモ国内盤のレーベル面では8月5日発売となっている

Living in the Past / JETHRO TULL (1972)

 

f:id:perucho:20220110010432p:plain

 

1972年にリリースされたJETHRO TULLのLPレコード2枚組コンピレーション・アルバム*1

Aqualung』(1971)と『Thick as a Brick』(1972)の大ヒットを受けて企画された、新規リスナーと熱心なファン両方へリーチする「ヒット・シングルのコンパイル」「Carnegie Hall公演のハイライト」「未発表曲とEP全曲」そして「写真集を含む豪華な装丁」というなかなか気合の入ったプロダクト。

 

www.youtube.com

タイトルはもちろんこのトラックから。

 

JETHRO TULLは『Aqualung』と『Thick as a Brick』で「JETHRO TULLといえば知的なテーマを持ったコンセプト・アルバム」みたいな後年まで続くイメージを確立した感があるが、それ以前はむしろシングルが主戦場で、ヨーロッパとアメリカにまたがってシングル・ヒットを連発するグループとしてこそ存在感を発揮していたといっても過言ではない(もちろんアルバムも内容は充実していたしそれなりにセールスもあったが)。

そうしたヒット曲の大半はアルバムとは明確に区別されシングルのみのリリースだったため、後年アルバム中心のディスコグラフィーからバンドの流れをつかもうとしたときわりと見落としがち、もしくは頭ではわかっていてもいまいち実感というか、アルバム収録曲と比べたときの1曲1曲の重要性みたいなものがイメージできないままになってしまいがち(わたしのことです)。

このアルバムはそうしたシングル曲の流れを端的に掴むことができるのと同時に、リリース時にはモノラルのみだった*2シングル曲にステレオ・リミックスという1972年当時の時代に合わせたアップデートも施されている。

 

バンドにとってはじめてのコンピレーション・アルバムで気合が入ってたのかアルバムの売上が伸びて「大ヒット御礼」状態だったのかジャケットも豪華で、エンボス加工されたハードカバーの表紙にほぼ写真集なブックレットとレコードを収める袋状のページが綴じ込まれた作りになっている。

 

f:id:perucho:20220110011302j:plain

初期盤の表紙は箔押だったらしいんだけど(現物未確認)、手持ちのものはレイトなのかUS盤は最初からこんなもんなのか普通の印刷となっていて正直ちょっと地味。

 

f:id:perucho:20220110010454p:plain

ブックレットはこういう感じ。色合いがいかにも「昔の印刷物」って感じ。

考えてみるとシングル曲のレコーディング・データはこのブックレットが初出では。

 

収録内容

まあぶっちゃけベスト盤としては「今となっては」なアルバム。

すべての音源は各オリジナル・アルバムのリマスターやリミックス盤にボーナス・トラックとして収録されていて*3、そっちを集めたりサブスクを活用すればここで省かれているトラックを含めシングル関係の音源を総ざらいすることも可能。ライブ音源も抜粋じゃなく全長版が公式にリリースされている*4

いきなりそれは極端にしても、もっとオーソドックスな選曲のベスト盤やはじめての人向けプレイリストなどが揃ってる今の時代にわざわざ円盤を買うものではなく、実際CDもあるっちゃあるけどリマスター盤などのリイシューは基本的にされていない。

 

そういった意味ではまったく初心者向けではないのだけど、しかしそのうえで、このアルバムの内容はJETHRO TULLにとってシングルがとても重要だった時代のシングル曲の数々とCarnegie Hallという大舞台でのライブ公演のハイライトをまとめたバンドのひとつの時代の総決算とも言えるものとなっていて、むしろオリジナル・アルバムをひと通りおさえた上であらためて意識してみる価値があると思う。

ベスト盤やそれに類するコンピレーション・アルバムの「入門編にして応用編」という存在意義のうち、前者についてはその役割を終えたものの、後者についてはむしろ時代の変遷とともにその重要性を増してすらいるのではないだろうか。あるいはこの記事書いてるうちに気持ちよくなってきちゃって話が盛り気味になっているのではないだろうか。

 

といったところでその収録内容なんですが、このアルバムはUK盤とUS盤で一部収録曲が異なっている。これはおそらく両国でのシングルのリリース状況等を反映したものと思われる。

手持ちのレコードはUS盤なので、ここではそちらに準拠します。と言ってもどのトラックもこれまでのオリジナル・アルバムを扱った記事ですでに触れてしまっているので書くことないけど。

 

www.youtube.com

 

A1「Song for Jeffrey」

A2「Love Story」

A3「Christmas Song」

A4「Living in the Past」

A5「Driving Song」

A6「Bourée」 CDでは収録時間の都合でオミットされてる。

 

B1「Sweet Dream」

B2「Singing All Day」 このアルバムが初出の未発表曲。

B3「Teacher」 このトラックもCDではオミット。

B4「Witch's Promise」 UK盤とUS盤で前の「Teacher」と順番が入れ替わってる。

B5「Alive And Well And Living In」 『Benefit』US盤で「Teacher」に差し替えられていたトラック。本アルバムUK盤では「Inside」を収録。

B6「Just Trying to Be」 これもこのアルバムが初出。

 

レコードC面は1970年11月4日のCarnegie Hall公演から。ブックレットに薬物およびアルコール依存症患者の支援団体へのチャリティ・コンサートだった旨が記載されてる。

C1「By Kind Permission Of」 「With You There to Help Me」後半のジョン・エヴァンのソロ・パートを抜き出したもの。

C2「Dharma for One」 1stアルバム収録のドラム・ソロ用トラックがすっかり様変わりしたもの。なんやかんや書いたけど結局このトラック目当てで聴くとこある。

 

D1「Wond'ring Again」 『Aqualung』収録の「Wond'ring Aloud」初期バージョン、の後半部分。

D2「Hymn 43」 UK盤では「Locomotive Breath」収録。

D3「Life Is a Long Song」 ここから5曲はEP『Life Is a Long Song』の内容をそのまま収録。

D4「Up the 'Pool」

D5「Dr. Bogenbroom」

D6「From Later」

D7「Nursie」

 

当該トラックで触れたように通常のUK盤やUS盤のCDでは1枚に収めるため一部トラックがオミットされている。

1997年にMobile Fidelity Sound LabからリリースされたものはCD2枚組でUK盤US盤両方のトラックを補完した内容だったほか、2004年の日本盤はUK盤に準拠したCD2枚組、しかもオリジナルのジャケットを可能な限り再現した紙ジャケ仕様のものまであった(プラケースのもあった)。

 

 

f:id:perucho:20220110010518p:plain

手持ちのUS盤のレーベル面。

ChrysalisとRepriseのカタログ番号が併記されている。このアルバムからJETHRO TULLアメリカでのリリースがChrysalisレーベルになったので、その過渡期的な処置だと思われる。

 

マトリクスは

  • A面:2TS-2106 31480-1-2CH-1035
  • B面:2TS-2106 31481-1-2CH-1035
  • C面:2CH 1035 31482-3-1
  • D面:2TS-2106 31483-1-1-2CH-1035

すべて手書きだけどC面だけあきらかに字体が異なるしマトの法則性も違うので、他の面より後に切り直されたんじゃないだろうか。

そもそも本当に初期の盤はChrysalis側のカタログ番号(2CH-1035)が無くてReprise側のもの(2TS-2106)だけな可能性。

あとすべての面に「T1」のエッチングがあるのでTerre Hauteプレスだと思われる。

 

 

これは前述した2004年の紙ジャケ国内盤。「2004年デジタル・リマスター」と銘打たれてるけど独自マスタリングなのだろうか。

あとApple MusicにはUK盤CDの音源があるっぽい。

 

 

*1:イギリスでは6月23日、アメリカではだいぶ遅れて10月31日

*2:FMラジオ局向けにステレオ・ミックスも存在していたが一般流通はしていなかった

*3:ミックス違いについても最近補完されたっぽい

*4:もうけっこう前だから今だとフィジカルは入手しづらそうだけど

2021年によく聴いた音楽(Apple Music調べ)

 

Apple Musicが毎年恒例「今年あなたがよく聴いたトラック、アーティスト、アルバムTOP10」みたいなやつをしきりにピックアップしてくるので、12月なんも書いてないしリハビリがてらそれをネタにひと記事でっち上げるかみたいなやつです。

考えてみるとそもそも自分は気に入ったトラックを繰り返し聴くタイプじゃなくリストにもそれがばっちり反映されてて企画倒れ感あるんだけど、まあ一年を振り返る的ななんかそういうのにはなるはず。新譜とかは無い。

 

素直に再生数多い方からいきます。あと貼ってるクリップは必ずしも実際に再生してたのとおなじリマスターやリミックスではないです。

 

1:「ブリュンヒルデの自己犠牲」

www.youtube.com

キルステン・フラグスタートヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮フィルハーモニア管弦楽団

今年いちばん再生回数多かったのがよりによってこれ、堂々の15回再生。いや少ないな!

『神々の黄昏』最後のあの忌々しいヴォータンがやっとくたばる場面はなんだかんだこの録音の間のとり方やフレージングが今の自分的にいちばん好ましいかもしれない。フルトヴェングラーにしては録音も良いし。

これ以外だとおなじくこの場面だけ抜き出したジェシー・ノーマンとクラウス・テンシュテットの、あんまりぎりぎりまで溜めまくってじっくり行くもんだから残響の最後の方までちゃんと鳴らしきれる大音量じゃないとスカスカになる、でもうまく鳴らせばバカみたいな巨大スケールになるやつもよかった。テンシュテットが『ニーベルングの指環』全曲録音を残さなかったのがつくづく残念。

 

そういえば今年はいままでよりオペラをあれこれ聴いたり、話の流れくらいわかるようにとフランス語やドイツ語の台本を英語や日本語にざざっと翻訳して対訳本作ったり(完全に機械翻訳頼り)した年でした。といってもモーツァルトワーグナー中心にサリエーリとベルリオーズをちょっとずつくらいだけど。

正直オペラのお話って現代日本で生まれてこの方マンガやらなにやらに親しんできた自分にとって勝手が違いすぎるものが大半なのだけど、でもそれで聴かないのはもったいない音楽的な面白さに溢れているというのもまた事実だし、お話の方も慣れてくれば話の流れは掴みつつ意識の上ではスルーしたり、意外なところで「あれの元ネタってこれだったんか!」てなったり、ものによってはわりと楽しめたりするようにも多少はなってきたので、もっと経験を積めばもっと楽しめるようになると思う。

 

スルーといえば、ある意味オペラやミュージカルどころか歌付きの音楽全般における歌詞、音楽についてくる言葉ってそれ自体がある面では余計なもので、うまいこと言葉の意味をスルーしてそれに引っ張られずに音楽を聴きたいという言ってしまえば欲望がある。

自分がこのブログのメイン記事でちょくちょく歌詞の内容に触れているのも、いざ音楽を聴くときに自分の意識が言葉に向いてしまうのを極力避けるために先んじてある程度意識してしまっておく、みたいな試みの一環でもあるし。というかこのブログのメイン記事そのものが、極端に言えば、その音楽をあらためて聴くときにすべて忘れていられるように、その音楽について先に一度むちゃくちゃ意識しておく、みたいな試みの産物なわけですが。

音楽を本当に実感を持って「聴けている」時っていうのは音以外のすべてが吹っ飛んでいて自分の身体感覚すら曖昧なものだけど、そういう状態って今のところ自分にとってはなにかのはずみでなるもので自発的になれるものじゃなく、それどころか歌詞に意識を引っ張られるくらいなら十分上等な、外を走ってる車だの夕飯の献立だの将来の不安だの昔だれかに言われたことだのが次から次に湧いてくるような状態になることが多い。ていうか使われている楽器やその奏法、エフェクトや楽曲の構造といったものを十分に意識できている状態すら厳密には「聴けている」状態なわけではないのでは?

どうしたら狙って「聴けている」状態になれるかというのは一生の課題なわけだけど、それはそれとして「聴けてない」状態をいかに充実させるかというのもあるわけで、逆にメイン記事で扱ってるような情報を思いっきり意識してみたり、普段はなるべく避けようとする視覚的なイメージをあえて膨らませてみたり、思いっきり言葉に引っ張られてみたりというのもそれはそれで楽しいというか、そちらすら自分は全然満足に行えていないというのが実際のところで、なんか思いつくままにキーボード打ってたら話がとっ散らかりまくってんなこれ。こういうことを単体の記事できちんと書けたらいいんだけど、最近めっきり思ったことや考えてることを文字にできなくなってしまいまして……

 

2:Locomotive Breath / JETHRO TULL

www.youtube.com

12回再生!(先が思いやられる数字)。

ぶっちゃけマスタリングの聴き比べ作業で再生回数増えただけで聴こうと思って再生したのはずっと少ないと思います。てか考えてみるとちゃんと聴くときはディスク再生してたからこれ全部確認作業だった可能性すらある。もうおしまいだろこの企画。

 

詳しいことはこの記事の下の方。

scnsvr.hatenablog.com

 

3:「ジークフリートのラインへの旅」

www.youtube.com

11回再生。正直このあたりはテンシュテット盤のほうが再生回数多いもんだと思ってた。

今年は『ニーベルングの指環』全曲録音をフルトヴェングラーベームカラヤンバレンボイムブーレーズレヴァインといくつかは通して聴いていくつかはつまみ聴きしていたので、その合間にこのあたりのトラックを再生してたら再生回数が増えたと思われる。

ていうか自分的には今年はワーグナーも聴いたけどそれ以上にシューベルトシューマンを聴いてるつもりだった。クラシックで一つの楽曲にしぼって聴くときってだいたい違う演奏家、違う録音をとっかえひっかえしていくから、楽曲自体を聴いた回数は多くても再生した音源はバラけていてこういうとこには入ってこないのかも。

 

4:GREAT HELI-RUINED BASE (ヘリコプターBGM~ボス1) (FC版)

www.youtube.com

11回再生。このトラックに関してはアーケード版よるFC版のほうが好きなんだよなーとか思ってるうちに再生回数が増えたものと思われる。

 

5:Sonic Attack / HAWKWIND

www.youtube.com

10回再生。『Zones』収録の、ライブでは基本ポエトリー・リーディングやステージ上の演出がメインなこのトラックを1981年スタジオ版を踏まえたアレンジで演奏しているわりと貴重な時期の録音。

 

たぶん下の記事書いたときに触発されて80年代の音源を聴き直してたんだと思う。

scnsvr.hatenablog.com

これも本当はもう1本のビデオについて書こうと思ってたんだけど、ストーンヘンジ・フェスティバルについて調べる段階で息切れしてしまいました。

 

6:As Good As New / ABBA

www.youtube.com

8回再生。とうとう一桁になっちゃったよ。

ABBA復活の勢いでマイベスト的なプレイリスト作って遊んでたときに次のトラックとの流れを確認したくて繰り返し再生したと思われる。ここでパッと新譜からのトラック貼れてればまだ格好つけられたんじゃないですかね。そうでもないか。

ところで新譜のほう、過去作を連想させる「くすぐり」みたいなのも交えたりはしてるんだけど、それにしたって現代版アップデートみたいな装いですらなくあまりにも「あの」ABBAそのまんまのアルバムがぽんとお出しされた感じで嬉しかったと同時にけっこう驚きました。なんというか、ある時期に当たり前にやっていたことを、それが途切れたあとでもう一度やろうとすると技術的にはむしろ上達しているはずなのに何故かあの時のようにはいかない、みたいなことが多少なりともある前提で、それがうまい方向に転んでくれるかどうか心配していたら、本当にあの時そのままのが出てきたというか。

 

Voyage - Album by ABBA | Spotify

 

7:Fylingdale Flyer / JETHRO TULL

www.youtube.com

8回再生。JETHRO TULLのリミックス・シリーズに今年あらたに『A』が加わったのでさっそく聴いてた。

何を隠そう今年このブログでずっとJETHRO TULLを扱ってたのはこのアルバムを万全の体制で聴くためだったのだけど、正直『Minstrel in the Gallery』のブックレットの翻訳作業を済ませる前に本編を聴きすぎてしまった感がある。あと現時点でリミックス・シリーズを入手できてないアルバムがあってですね……

 

8:「ジークフリート葬送行進曲」

www.youtube.com

8回再生。ここまで書いて気がついたんだけど、Apple Musicって何らかの理由で音源をライブラリに追加し直したりするとそこで再生回数がリセットされてしまうから、本当はそれなりに再生してたはずなのにカウントされていない音源がなにかしらあるはずだわ。まあどうしようもないけど。

 

そもそもなんでワーグナーだったかというと、今年になってジョン・ブアマン監督『エクスカリバー』を観直した流れでこっちもあらためて聴いてたというのがあります。

エクスカリバー』の題材とそこで使われている音楽についてはいずれ個別の記事で書きたいのだけど、できればその前に『殺しの分け前/ポイント・ブランク』や『脱出』みたいに監督ご自身の音声解説を含むBDがリリースされないもんかな〜と思ってます。そもそも観たことない『未来惑星ザルドス』も、これから中古であの時期のDVD探すよりかはBDを待ちたい気持ちが強い。まあせっかくリリースされても金なくてどうにもならなかったみたいなのがここ数年の自分の状況なのですが。

 

9:Vampire Killer (Sneaking into the Castle BGM)

www.youtube.com

8回再生。急にムラっときてコナミの拡張音源使ってるファミコンソフトのサントラを聴き漁った時期があってそのときの本命が『悪魔城伝説』と『ラグランジュポイント』だったんだけど、なぜか拡張音源じゃない『悪魔城ドラキュラ』のほうのトラックが再生回数がのびてる謎。

 

10:Tonight Is What It Means to Be Young

www.youtube.com

8回再生。『ストリート・オブ・ファイヤー』は山ほどあるサウンドトラックばっかり聴いてて映画本編観たことないやつのひとつだったのだけど、今年になって若い頃のウィレム・デフォー目当てでやっと観た。ついでに映画本編とは無関係にこの曲のヴォーカルをそれぞれキャラクターがはっきりした4人程度の歌手で分け合う形にアレンジする妄想をしていた余波で再生回数が増えたと思われる。

 

11:白虎野の娘 / 平沢進

www.youtube.com

8回再生。黄金時代篇がはじまる前から読んでいた『ベルセルク』の三浦建太郎が亡くなったのがわりとショックで、なんとなく平沢進のアルバムの手持ちのものとサブスクにあったものを聴き返してた一環。今敏が亡くなってからもう10年以上経ったのか。

ていうかなるべく公式チャンネルのクリップ貼ろうとしてやむを得ず「白虎野の娘」じゃなくてアルバム版歌詞の「白虎野」、しかもライブ映像を選んだつもりだったのに、あらためて確認したら公式じゃなくてファンのチャンネルじゃねーか。

 

映像見てもなにを操作してるのかしてないのかさっぱりわからないレーザーハープについてご本人のツイートがまとめられてた。

togetter.com

 

 

以上。なんかやたら8回再生のがあってTOP10みたいにできなかったけどどうせ再生回数一桁でトップもベストもあったもんじゃないのでまあいいか。

 

たぶんCarusレーベルのメンデルスゾーン関係の音源が配信からごそっと消えてなければなにかしらここに入っていたはずなのでそれが残念。Carusレーベル自体知らなかったからすごい金脈を見つけた気分で大興奮だったんだけども。もしや俺が再生したことで「日本から再生できる」という権利者側が本来意図していない状態にあったことがバレてしまってその結果削除されたんだったりしないかと不安になってしまいますね(自意識過剰)。

 

あとは今年の新譜だとマティアス・キルシュネライトとミヒャエル・ザンデルリング指揮フランクフルト放送交響楽団のフンメル/ウェーバー/メンデルスゾーンのピアノと管弦楽作品集とかヨナス・カウフマンのリスト歌曲集がよかったです。ブラウティハムのウェーバーはまだ聴けてない

 

それでは皆様良いお年を。自分は年越しそば食べて『三大怪獣 地球最大の決戦』観ます。